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「ヴォイス」が大ヒット=ブラジルTV界の台風の目

ニッケイ新聞 2013年11月29日

 現在、TVグローボで毎週木曜午後10時から放送中のオーディション歌番組「ザ・ヴォイス・ブラジル」が、ブラジルのテレビ界を席巻している。
 「ザ・ヴォイス」はオランダで2010年にスタートした番組で、翌11年にこれのアメリカ版が大ヒットして以来、世界各国が同じフォーマットで独自の「ザ・ヴォイス」を放送している。ブラジル版は昨年12年に放送がはじまった。
 この番組では、スタッフが事前に集めたアマチュアで歌の上手な挑戦者たちを、その国を代表する4人の有名歌手が審査する。それらの歌手が第一次審査を通過した挑戦者たちをコーチして育て、挑戦者同士を競わせながら、最終的にチャンピオンを番組視聴者投票で選ぶというものだ。
 似たような形式の「未来のスター探し」を目的とした番組なら「アメリカン・アイドル」などがあるが、この「ザ・ヴォイス」は表題通り「声」こそが主役で、年齢に関係なく、視聴者を声で魅了した挑戦者がスターになる。挑戦者の中には、元プロ歌手が混ざっていることも普通だ。
 番組の性質上、番組で展開されるのは「究極のカラオケ合戦」とでも言うべきもので、プロも顔負けの上手さの挑戦者たちによる、さながら「歌による格闘技」とでも言うべき熱い歌の応酬が視聴者の心をつかんでいる。アメリカ版は視聴率で同系番組の老舗だった「アメリカン・アイドル」を抜き、エミー賞も獲得した。
 また、お気に入りの挑戦者を自分のことのようにコーチするスター歌手たちの生々しい素顔の表情も好評だ。ブラジル版でコーチをつとめるのは、ベテラン・ロック歌手のルル・サントス、黒人歌手のカルリーニョス・ブラウン、女性アシェー歌手のクラウジア・レイテ、セルタネージョ歌手のダニエルの4人だ。
 「ザ・ヴォイス・ブラジル」の第2シーズンは10月3日にはじまったが、ツイッターでは、10月1日から11月26日までに、同番組に関し110万件のツイートが記録されている。11月4〜10日の週の視聴率は、番組放送開始以来の平均視聴率と同じ26ポイント(サンパウロ市近郊での1ポイントは、6万2千世帯の人が視聴していたことを示す)で、サンパウロ州内第3位となった。この数字は、グローボ局のノヴェーラ「アモール・ア・ヴィダ」の37ポイントには及ばないものの、人気ニュース番組の「ジョルナル・ナシオナル」の25ポイントや、ブラジル国内でここ10年ほど大人気となっているリアリティ番組「ビッグ・ブラザー・ブラジル」の24ポイントを超えている。
 またブラジルでは現在、ケーブル・テレビのソニー・チャンネルで日曜と月曜の23時に、世界的人気に火をつけたアメリカ版の「ザ・ヴォイス」も放送されており、本国アメリカのオンエアから1週間足らずの時差で見ることも可能だ。
 なお現在、全世界48カ国で自国版の「ザ・ヴォイス」が製作されているが、残念ながら日本版は作られていない。(11月27日付フォーリャ紙より)