ニッケイ新聞 2013年11月29日
中央銀行の通貨政策委員会(Copom)が27日、経済基本金利(Selic)を0・5%ポイント引き上げ、年10%とする事を決めたと28日付伯字紙が報じた。
今年最後の通貨政策委員会は26、27日にかけて開催され、経済基本金利を9・5%から0・5%ポイント引き上げ、年10%とする事を全会一致で決めた。基本金利引き上げは今年4月17日の委員会以来6回連続で、2012年10月には基本金利制定後最低の年7・25%まで下がっていた金利が、12年3月7日以来、20カ月ぶりに2桁台に戻った。
経済基本金利が2桁に戻る事は委員会前から予想されていたが、アナリスト達の注目を集めたのは、閉会直後の記者会見で基本金利引き上げは今年4月に始まった事への言及があり、過去4回の会見で繰り返された「経済基本金利の引き上げはインフレの抑制と、来年度もその傾向を維持するために貢献する」との表現が削除された事だ。
市場では、これらの変化は経済基本金利の引き上げが終わりに近づいた事を意味するとの見方が広がり、12月5日に発表予定の委員会議事録と年末に発表される四半期毎のインフレ白書の内容次第で、来年1月15日の委員会での態度が決まると見ている。
経済基本金利は、銀行預金の利息やローンなどの返済利息算定の基本ともなるため、公的債務の利息の支払額増加を案ずる政府はじめ、企業家や庶民にも影響が大きい。
例えば、2万5千レアルの車を60回払いで買う場合の返済月額は659・57レが666・25レになり、支払総額も3万9574・09レが3万9974・88レに増える。銀行で個人融資を受けた時の平均金利は4月以降1・1%ポイント上がり、年38・3%に達した。預貯金は、管理費が年2%超の時以外は投資ファンドがポウパンサより有利になる。
経済基本金利はインフレ抑制手段の一つで、近年では2008年に勃発した経済危機後、景気回復に伴うインフレ加速時に12・5%まで引き上げられたが、2011年からの景気減速時は、景気刺激のために融資を受け易くするなどの目的で引き下げが行われた。
ただ、基本金利引き下げによる効果が期待したほど上がらない中でのインフレ再燃で、再び引き上げが始まったのが今年4月。史上最低を記録した時点ではジウマ大統領にとって2014年大統領選でのアピールポイントになると思われていたが、インフレは経済回復以上のペースで上昇し、今年3月には政府目標上限の6・5%を突破。現在の累積インフレは上限以下だが、金利引き上げによるインフレ抑制効果は徐々にしか表れないため、来年の基本金利は2003年の政権移行期と同じ10・5%か、それを上回る11%に達するとの見方が強い。
全国工業連合(CNI)は、経済基本金利が2桁になると、多額の融資を受けての投資をためらう企業が増える可能性が強く、経済成長への足かせになると見ている。