ニッケイ新聞 2013年11月29日
スマートフォン(多機能携帯電話)向けに作られた日本製のコミュニケーションアプリ「LINE(ライン)」は、インターネット上での配布が始まって2年足らずの間に世界230カ国、2億8千万人(10月末時点)に広まった。当地でも今年7月からテレビCMでの宣伝を始めるなど、本格的な事業展開を図っている。今年8月に開設されたサンパウロ事務所の責任者で、運営会社であるLINE株式会社の窪島剣璽・事業戦略室グローバル担当に、その魅力と進出意図を聞いた。
互いの携帯電話に「LINE」のソフトが登録されていれば、無料で音声通話や「スタンプ」と呼ばれる独自のキャラクターの絵や記号を交えたチャット(雑談形式での文字のやりとり)をすることが出来る。グループを作っての複数人での同時やりとりも可能だ。この特徴が10〜20代の若者層を中心に受けいれられ、2011年6月のサービス開始からすでに10以上の言語バージョンが公開されるなど、短期間で爆発的に利用者数を伸ばした。
サンパウロ市内パウリスタ大通りにあるビジネスビルの一角に居を構える事務所は、今年8月から活動を本格化させた。5月の初来伯以来、当地でのビジネス環境の整備に腐心してきた窪島さんは「近年のスマートフォン市場の伸展や人口などを鑑みれば、ブラジルのポテンシャルは高い。台湾、タイ、スペインなど短期間で登録者が1千万を超えた国と同等」と期待を込める。
実際に登録者の数は順調に伸びているようだ。ポ語版は今年3月に公開。7、10月と段階的に導入されたCMの効果も相まって、その伸び幅は公開3カ月から登録者数1千万人を超えたインドなどに匹敵するほどだという。
同社の核となっているLINE事業は、前四半期から約60%増の99億円の売上高(7〜9月期)を計上している。登録から通話、チャットなどのやりとりまで通信費以外のお金が全くかからない中、収益構造はどうなっているのか。(つづく、酒井大二郎記者)
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