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カルテル疑惑=アエシオと法相が真向対立=疑惑のポ語訳が争点に=調査のPT関与を疑うPSDB=「法廷持ち込む」とカルドーゾ

ニッケイ新聞 2013年11月30日

 【既報関連】21日付エスタード紙が報じたサンパウロ市地下鉄・CPTMのカルテルに絡むシーメンス元役員による報告書をめぐり、党員が疑惑の対象とされた民主社会党(PSDB)のアエシオ・ネーヴェス党首が「労働者党(PT)が仕掛けた政治的策略だ」として、ジョゼ・エドゥアルド・カルドーゾ法相(PT)の辞任を要求、法相も反撃に転じるなど、騒ぎが大きくなってきている。27〜29日付エスタード紙が報じている。

 問題の報告書は、PSDBと民主党(DEM)はカルテル計画で賄賂を受け取ったとし、サンパウロ州政府長官のエジソン・アパレシド氏などをPSDB側の疑惑の人物と名指ししている。同文書はシーメンス元販売局長のエヴァートン・ラインハーマー氏が経済防衛行政審議会(Cade)に渡したとされていた。
 これに対しアエシオ氏は21日、この報告書を「断固信用しない」とした。それは、ヴィニシウス・カルヴァーリョCade会長がPT党員で、やはりPTでサンパウロ市サービス局長のシモン・ペドロ氏と深いかかわりを持っていること、ラインハーマー氏がシモン氏の助力と将来的な報償を約束されて報告書を作成したことを認める発言を行なっていることなどから、信憑性にかけるとみているからだ。
 さらに26日、PSDB側は、連邦警察に提出された文書では、2008年にラインハーマー氏がシーメンスに提出した英文報告書のポルトガル語訳が粉飾されていると抗議した。原文では「この文書はCPTMやサンパウロ市地下鉄5号線を含むいくつかのプロジェクトでの政府関係者の贈収賄へのアルストン社の関与について調査しているブラジル当局者に寄与するだろう」とあり、具体的な政党名が出ていないが、ポ語では「政府関係者」の部分が「PSDBの政治家」と具体的な政党名入りで訳されている。
 アエシオ氏は、ラインハーマー氏の文書が連邦警察に渡る前にシモン氏が虚偽の訳をしたのではないかと疑問視し、その責任を取る形でカルドーゾ法相の辞任を求めた。同法相は22日、同文書はシモン・ペドロ氏が法相に届けて来たもので、自分が連邦警察に渡したと発表。アエシオ氏が23日に同件に関する法相の立場を明白にするよう求めていた。
 26日のアエシオ氏は「PTは、メンサロン事件で投獄された被告への注目をそらすために、たくさんの文書を使ってPSDBをPTと同じ次元に貶めようとしている」と罵った。これに対し法相は、「カルテルに関する調査を、政党争いの場に転化するとは嘆かわしい」と語り「お笑い種だ」とまで罵った。
 同法相は28日にジウマ大統領と話し合い、PSDB側の発言を「侮辱だ」として、同党に対する訴訟を起こす構えでいることを明らかにした。
 また同相は、一つの文書の英語とポ語訳は「必ずしも同じになるものではない」と答え、連邦警察に提出した文書にはカルテルに関与した政治家に関する重要な情報があることをほのめかした。
 カルドーゾ法相の発言後、PSDB上院副リーダーのアルヴァロ・ディアス氏は「訴訟など怖くはない。真実が明るみになるだけだ」と語った。