ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | 「開会式はイタケロンで」=CBFマリン会長が明言=FIFAはリスク回避望む

「開会式はイタケロンで」=CBFマリン会長が明言=FIFAはリスク回避望む

ニッケイ新聞 2013年11月30日

 【既報関連】27日にサンパウロ市東部のイタケロンスタジアムで起きた作業員2人が死亡した事故を受け、地元実行委員会とブラジルサッカー連盟(CBF)の会長のジョゼ・マリア・マリン氏は28日、2014年6月12日のW杯開会式と開幕戦について、「事故は起こる。死者が出たことは遺憾だが、代替案はない。開会式は必ず(予定通りイタケロンで)行われると確信している」と明言した。29日付フォーリャ、エスタード両紙などが報じた。
 フォーリャ紙によれば事故の数時間後、スタジアム所有者のコリンチャンスと建設会社のオデブレヒトはマリン会長に、「(事故は)建設に大きな影響を及ぼさない。落成までに若干の遅れが出るだけ」と報告していたという。同スタジアムの落成は当初の予定より30日遅れの12月末とされていたが、マリン会長は今後の予定にはコメントしていない。
 一方FIFAは、警察による実地検証の内容次第で開会式の会場変更も検討している。関係者がエスタード紙に明かしたところによれば、FIFAはこれ以上のリスクを犯すのを恐れており、事故の被害が大きくてスタジアムの収容人数を増やすための移動式観客席設置を妨げるようなら、会場をコンフェデ杯で使用したスタジアムに変更する可能性がある。候補となりうるのは、マラカナン(リオ)、マネ・ガリンシャ(ブラジリア)、ミネイロン(ベロ・オリゾンテ)の三つだ。
 警察は事故の原因を、不安定になっていた地盤の問題、クレーン車の機械的欠陥、クレーン車を操作していた作業員のミスという三つの仮説を立てて捜査中だ。29日付G1サイトによれば、担当捜査官は同日、作業員への事情聴取前のメディアの取材に対し、彼に嫌疑がかかっている訳ではないと発言している。
 また、労働省の監査官は28日に現場を訪れ、9台のクレーン車の使用を無期限で禁止した。同省はオデブレヒト社に対し、クレーン車のメンテナンスは正しく行われていたか、作業員が適切な職業訓練を受けていたかなどを証明する書類の提示を求めており、来月12日にはこの件に関し、建設会社、検察庁、労働省の関係者による会合をもつ。現場周辺の5千平米(全体の5%に相当)の敷地内の作業は当面中止されるが、その他の区域の建設作業は来月2日から再開され、クレーン車を必要としない作業が進められる予定だ。全面的な作業再開のためには、建設会社は市に許可を求める必要がある。
 なお、建設作業員組合(Sintracon)代表のアントニオ・ラマーリョ州議が、現場監督の一人が事故の数時間前にトラブルを警告したが、技師らが無視したと明かしたことについてオデブレヒト社は「そのような記録はない」として否定した。ラマーリョ氏は書面での証拠があるとしたが、現場監督の名前は明かさず、証拠書類をメディアに提示していない。