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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2013年11月30日

 故田中角栄さんではないが、政治家とカネの醜聞は多い。角さんの番頭でもあった故金丸信さんも、金庫には金の延べ棒がざくざくであり大いなる話題となったが、東京都知事の猪瀬直樹さんのカネの扱い方も、かなり粗雑だし、杜撰極まりない。学生の頃は新左翼運動の指導者であり、通称「白ヘル」(革命的共産主義同盟全国委員会)に属し、信州大学全共闘議長を務め、佐藤栄作首相訪米阻止闘争に参加したりの大活躍である▼この猪瀬さん、都知事選に出馬し433万票超を獲得し、史上最高となったのはお目出度い限りながら、選挙資金にと徳洲会から5千万円を頂戴?したのは何とも不純な臭いがする。ご本人は「借りたカネ」としているが、徳洲会の徳田毅衆議によると「猪瀬氏が選挙資金に1億円要求」してきたので父親の虎雄・前徳洲会理事長に相談すると「とりあえず5千万円」の指示があり、文書記録も保存していると語っている▼ところが、都知事の猪瀬氏は「徳洲会から申し出があり、断るのも失礼だと考えて借りた」とし、借用書も作成したと釈明しているが、東京地検特捜部が徳洲会グループの強制捜査に入ると、秘書に5千万円持たせ毅衆議の母親に返済している。しかし、母親は「借用書のことは知らない」と話しており、認識が食い違ってもいる。まあ、猪瀬知事は、東京オリンピックの招致に成功した功績は高く評価するにしても、この諍いに「勝ち目はない」と見たい。徳洲会は文書記録も保存しているのだから—ここは都知事が平身低頭し謝罪しかあるまい。(遯)