ニッケイ新聞 2013年12月3日
写真=ともに日本代表選手として活躍したカズとヤス
日本のサッカーJリーグの立役者で、80年代後半にはサントスFCなどでプレーしていたカズ(三浦知良、横浜FC、46)と、実兄で東京ヴェルディ監督の三浦泰年氏(48)が28日、当地永住権の更新のため来伯した。29日夜に開かれた記者会見の中でカズは、本紙のインタビューに対し、「何もわからない状況で来た子供だった自分を、常に温かく見守ってくれた。今でも非常にありがたいと思っている」と日系社会への感謝を語った。
カズが約8年間の当地サッカー修業で学んだ、最も印象的なものとして挙げたのは「危機感」。「今日良い結果を残さなければ、明日はどうしようもないね、という世界。今日の試合に活躍できれば、また来週試合に出られるかな、逆に出来なければ首を切られるかもしれない。そういう不安の中、緊張感を持って闘い続けたことで成長させてもらった。それは現在まで続いているし、一試合一試合に全力を尽くすという姿勢に繋がっている」と真剣な眼差しで語った。
来年のW杯出場を控える日本代表チームについて、泰年氏は「はっきりとした目標に向かって、良い準備が出来て成果も挙げている。協会も一致団結し、国内クラブも代表への理解を持っている」との印象を語った。 一方、国内サッカーの選手レベル向上を評価しながらも、「プロのチーム数は20年で10から40にまで増えたが、日本社会において、サッカーにかけられる牌の大きさはあまり変わっていないイメージ。代表チームを含めた協会は、その部分の危機感を持たなければいけないのでは」と指摘し、チーム数ばかり増加して、ファン数やスポンサーがその割に増えていない現状に警鐘を鳴らした。
一方、カズは「代表は今でも自分にとって目指すべき憧れのチーム。批評をする立場ではない」と多くを語らなかった。
カズは1982年にサッカー留学生として初来伯し、名門サントス、コリチーバなどでプレーした。プロ28年目を迎えた2013年シーズンも18試合に出場し2得点を挙げるなど、リーグ最年長プレーヤーとして、毎年記録を更新し続けている。
泰年氏は静岡学園(静岡)を卒業後、2年間当地に留学。読売サッカークラブ(現東京ヴェルディ)、清水エスパスルス等で活躍した。2003年に引退後、指導者として第一線に立つ。