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■記者の眼■=日本の大卒資格通用しない?=留学活発化に体制整備を

ニッケイ新聞 2013年12月3日

 学生ビザの期限が約1カ月後に切れる知り合いが、別のコースを申し込むべく複数の大学院をあたってみたが、「ことごとく断られた」と怒り心頭の様子だ。断られた理由は、「日本の国立大学卒業証書が当地で有効化(Revalidacao)されていないから」だという。
 その日本人女性は「世界屈指の学力を誇る日本の国立大学の卒業証書がなぜ通用しないのか?」と憤りが納まらない。
 大卒資格を有効化するには、卒業証書と成績証明書に加え、専攻した全科目の概要が必要だ。それらを全て翻訳した上で当地の大学に有効化してもらうのには、なんと半年以上かかるという。しかも、それだけの金と手間を費やしても、有効化されるとは限らない。サンパウロ市の私立大学院に通う知人は、「念のため有効化しておきたいが、有効化に成功した人をまだ一人も知らない」と途方に暮れていた。
 国公立大学の卒業資格の有効性すら疑われている現状に対し、日本政府機関は手をこまねいていていいものか。せめて国公立、もしくは一定以上の偏差値の大学なら有効化を免除するなど、柔軟性を持たせることはできないのか。
 日本がブラジルに対しても同様の手続きを要求しているなら、かろうじて溜飲を下げることもできるだろう。しかし在聖総領事館に問い合わせた所、日本学生支援機構(JASSO)に確認の上、以下のような返答があった。「日本では、海外で取得した学位を認証する必要はなく、提出書類等については基本的に各大学の事務局に委ねられている」。つまり、ブラジル側が日本に求めるような、政府による一方的措置は存在しない。
 こうした官僚主義に基づく手続きの煩雑さが、どれだけ留学のハードルを上げているかは、当地の外国人留学生の声を聞けば明らかだ。これが改善されない限り、結局、協定を結んだ大学同士の交換留学に限られてしまう。日伯間の留学気運を盛り上げ、活発化するためにも、書類の簡便化を図るなどの体制整備が必要ではないだろうか。(阿)