ニッケイ新聞 2013年12月3日
サンパウロ市のナタール(クリスマス)の公式行事は1日のセー大聖堂でのミサから始まった。セー広場の電飾や通勤途上の飾りつけなどを見ながら、インターネットで見た9歳の少女の手紙を思い出した▼ブラジルの郵便局ではこの時期、サンタ役を申し出る人にクリスマスプレゼントを希望する子供達の手紙を見せ、プレゼントを頼むというプログラムがある。そんな中、ミナス州オウロ・ブランコの女子青年が、郵便局で見た9歳の少女の手紙に心を打たれたと書いていた▼市立の教育センターの生徒と自己紹介したソフィアちゃんは、アダムス社のHallsというアメ2箱を希望し、「その他にサンタさんが入れたいものがあったら入れてください」と添え書きをした。ひょっとしたらそのアメを家の前や学校の前、バスの中で売って売り上げを親に渡すつもりかもと考えると、やるせない思いになる▼毎日のように巨額の賄賂云々という報道を耳にし、賞味期限前の食品が捨てられる様子なども見る。その一方で、1レアル程度で売られるアメが21包み入った箱二つをクリスマスプレゼントにと求める子供が居る。会社員や学生ならカバンの中に入れたまま忘れたり、1〜2個残った状態で捨てる事さえあるようなアメが、9歳の少女の夢だとは…▼日頃は誰も目に留めないような物でさえ少女の渇きを癒すという事実と向き合う時、ぶち当たるのは、貧富の差という現実とついつい尊大になりがちな自分達の姿だ▼ソフィアちゃんがクリスマスにサンタから何をもらうかはわからないが、このナタール、一人でも多くの人が受けとる喜びと、与える喜びを味わって欲しいと心の底から願わされた。(み)