ニッケイ新聞 2013年12月5日
写真=直近の欧州遠征でベルギー、オランダ相手に好成績を残した日本代表(写真は共同)
日本の報道(11月20日付スポニチアネックス記事や共同通信など)が、日本代表チームのキャンプ地の有力候補先としてサンパウロ州イトゥー(イツー)市が挙がっていると報道したのを受け、イトゥー市役所に問い合わせると、なぜか「日本代表のキャンプについて当市役所は知らない(A Prefeitura de Itu desconhece)」との返答が返ってきた。
マリンガー、モジなども日本代表誘致に名乗りを挙げていると言われる中、なぜイトゥーなのか。W杯出場32カ国が8グループに分かれる「組み合わせ抽選会」がバイーア州サウイッペ海岸で6日に行われる機会に、その謎を追った。
地元日系団体が中心になって招致活動をしたのかと、イトゥー日系文化体育協会の久保パウロ会長に聞くと、「市役所から話があるのは聞いていて、決まった際には手助けを頼まれている。ただ、今のところ具体的な話は何も…」とのこと。
久保会長は「すでに福嶌教輝在聖総領事が『その際はよろしく』と11月頭に挨拶にこられた」とも話した。
在聖総領事館の中山雄亮副領事に確認すると、「11月1日に総領事がイトゥー文協を訪問したのは事実だが、総領事館に日本協会から連絡等があったわけではない。元々聖南西方面への視察の予定がある中で候補地として挙げられているという〃噂〃を聞いていたので、訪問させてもらい、話題としてあげたということ」と説明した。
スポニチ記事では日本協会は現地にスタッフを派遣し、使用可能な83の候補地のうち50カ所を視察。ヴィラ・コッポス空港まで車で30分という交通の便の良さ、日系人が多く日本食の調達などが比較的容易で、日本人が住みやすい環境が整備されていることが評価されたと報じられた。
つまり、FIFAに申し込みがあった候補地の中から、日本サッカー協会が予備調査をしてイトゥーを希望した。だから同市役所側は「市としては各国代表の出方を待っているところ」とし、「日本代表のキャンプに関して知らない」との回答に終始したようだ。また「市」が立候補したのでなく、同市のリゾート施設がFIFAに申し込んだ可能性がある。ならば市としては直接関知しないだろう。
6日の抽選会の結果次第で、日本がどのグループに入るかが分かる。日本代表が北伯で試合をする可能性すらあり、であればサンパウロ州を拠点にする意味はない。どこを〃希望〃しても、まったく未定なのが現状のよう。
抽選会前だけに、まだキャンプ地うんぬんでヌカ喜びするのは禁物だ。全伯どこになろうが、最寄りの日系団体が総力を挙げて歓迎応援するよう期待したいところだ。