ニッケイ新聞 2013年12月6日
サンパウロ州グアルーリョスの私立小学校で、8歳の黒人少年の髪型をめぐり、市警が学校は「人種差別を行なっている」と調査に乗り出す騒ぎが起きている。
ルーカス・ネイヴァ君(8)は、通っている小学校から、この8月に「髪を切ってくること」を薦めた通知をもらっていた。ルーカス君の髪型は、70年代の「ブラック・パワー」の時代を思わせる、大きめのアフロヘアだ。
ルーカス君は劇の授業も受けており、対外的な作品の劇に出ているために役柄のイメージを壊さないよう、その後も髪型を変えていないが、髪型のことで話し合うために校長が授業中にルーカス君を呼び出したことがあり、それ以来、ルーカス君が学校内でいじめの対象となった。
また、この学校では11月14日までに在校生の在籍更新手続きを行うよう連絡をしていたが、マリアさんはこの連絡を受け取っておらず、更新手続きの期限を逃してしまい、ルーカス君は入学希望者の順番待ちの列に回されてしまった。
マリアさんは髪型が原因でいじめが起きたことと、更新手続きができなかったために順番待ち扱いにされたことに不信感を抱き、「人種差別ではないか」としてグアルーリョス市警に訴え、これを受けた市警が学校の調査をはじめた。
校長の言い分は、「休憩時間に汗をかくとしきりに頭をかいていたし、目にかぶって視界をさえぎるなど、本人も邪魔そうにしていたし、「頭が大きくて、他の子供たちが前をよく見れない」ため、髪型として不適切というものだった。
また、更新手続きの件は、ルーカス君の学年の朝のクラスは希望者が多く、期限を過ぎた時点で定員分が埋まってしまったために順番待ちになったのであって、人種差別ではないと弁明した。
黒人の少年少女の髪型をめぐる差別問題は、ルーカス君の件だけに止まらない。アメリカのフロリダ州でも12歳の少女、ヴェネッサ・ヴァンダイクさんが、アフロヘアをめぐって、通っている小学校ともめ、学校側から「切らなければ退学」とまで通告を受けた。このニュースはアメリカ国内にとどまらず、広く世界にまで報じられるものとなった。ヴァネッサさんは「これは黒人の文化」との主張を曲げず、そのままの髪型を保っているが、それがゆえにいじめにもあっているという。
なお、ルーカス君の髪型は手で押さえつけて目に届く程度とさほど大きなものではなく、ヴァネッサさんのものと比べてもかなり小さなものだ。(5日付G1サイトより)