ニッケイ新聞 2013年12月6日
春になれば全国的に雨が降ると期待されていた中、北東伯は水力発電用の貯水湖の水位が22・05%まで減り、リオ・グランデ・ド・ノルテ州(北大河)では毎日使う水もタンクの前に8時間並ばないと手に入らないなど、干ばつの影響が依然として続いていると11月30日付エスタード紙や3日付G1サイトなどが報じている。
地球温暖化などの影響で干ばつや豪雨といった異常気象が激化する中、北東伯では最近の50年間で最悪という干ばつが解消しきれずにいる。
北東伯で大干ばつが起きているとの報道は2012年から繰り返され、家畜の屍が塁をなす、野菜や果物も収量激減などのニュースは弊紙でも伝えてきたが、3日付G1サイトの記事は、ここ2年間はシャワーを使わずひょうたんで汲んだ水で入浴という女性や、地域にある貯水タンクの水を取りに行くために夜中の3時半に家を出るが正午を過ぎても水が汲めないという北大河州民の生活を報道。州政府も、大干ばつは1年以上続いており、直近50年間で最悪と評価している。
「セルトンでの生活はいつだって大変だけど、去年から続く干ばつはこれまで見た事もないほど酷い。フェイジョンやトウモロコシもみんなだめになってしまったし、失業中の主人の仕事も一向に見つからない。家族は政府からの生活扶助(ボルサ・ファミリア)で暮らしている」というオウダレイアさんは、町のタンクの前に8時間以上並んで水を運ぶ一人。ただし、11月25日は給水車のパンクでタンクの水が補給されず、家族用の水も底をついた。こういう時は生活扶助で水を購入する必要も生じ、その後のタンクの前の列も一段と長くなる。
北大河州は9月19日に167市中150市で非常事態を宣言。大半は11月に解除されたが、オウダレイアさん一家が住むピロンエスは干ばつ被害が続く9市の一つ。これらの市では、家畜の死や農作物の枯死に加え、生き延びるための水の確保という苦闘が続いている。
グローボ局のファンタスチコは1日の番組で北東伯の干ばつ被害地のルポを行い、燃料用だったタンクをペンキだけ塗り替えて給水用に使っている例や、水を補給したというタンクには水が入っていなかったという不正も摘発。窮状打破には水源確保や送水管の設置、貯水タンクや浄水設備増設などが不可欠だが、サンジョゼ・ド・セリドの給水システムの場合、工事が1年以上遅れ、経費も当初予算の270万レアルより40万レアル増えているという。
現政権初年に摘発された国家統合省絡みの不正には北東伯の干ばつ対策用の資材放棄なども含まれるが、1日付エスタード紙によれば、北大河州は4年間で税収が22%増えたが投資額は41%減っており、行政のあり方も問われそうだ。
北東伯のダム貯水湖の水位低下は続いており、全国電力システム運営機構(ONS)では、他地域からの電力供給を現行の3千メガワット以上に増やす事を検討中だ。