ニッケイ新聞 2013年12月10日
来年6月に迫ったW杯による経済効果が各業界で表れることが予想されているが、恩恵を受けるであろう人々の中に、ピーナッツ農家が入っていることを意外に思う人は多いだろう。
もともと会場で観戦するつもりがなかった人を含め、熾烈な争奪戦となっているチケット購入がかなわなかったブラジル人は自宅で、テレビの前で試合を観ることになるが、何か観戦の〃お供〃を手元に置く人も多い。それが、ピーナッツというわけだ。
サンパウロ州北西部に位置し、国内産ピーナッツの25%を収穫するリベイロン・プレット市のピーナッツ農家は、W杯までに需要が高まり、13・3%まで生産量が増えるとみている。W杯がなければおそらく2015年2月まで持つはずの在庫が、W杯があるために来年6月までには尽きてしまうとの予想だ。
サンパウロ州地方の130の生産業者が加盟する農産業組合(Coplana)によれば、この時期の収穫で8万5千トンのピーナッツがとれるはずだという。4月に終了した収穫では、同組合始まって以来の最高記録である7万5千トンの生産量となったが、それを上回る量だ。
業者らは、生産量増加に伴い収益増加も予想している。前回の収穫では皮付きの25キロのピーナッツが平均価格30レだった。2011年12月は26・5レだったことと比べると、市場での価値が上がっていることは明らかだ。
「ブラジル人はもちろん、外国人観光客にも、ブラジルの味を試してみてほしい」とCoplanaのパウロ・ウンベルト農業開発課長は話し、消費の増加を見込んでいる。
「ここ最近はすごく価格がいいよ」と、ある53歳の生産者は評価する。この男性は780ヘクタールのピーナッツを植えており、1ヘクタール当たり250袋の収穫を見込む。州農務局の関係機関である農業経済院(IEA)によれば、作付面積は年内に3%、すなわち8万8900ヘクタール増加するという。
ピーナツ加工業者のサンタエレーナ社は、2014年の販売は25%まで増加するとみている。同社ディレクターのルイス・ベルテーラ氏は、「もともと6月はフェスタ・ジュニーナでピーナッツ製品が売れる時期。W杯はそれに拍車をかけることになる」と分析する。
この地域のピーナツはもともと、サトウキビの収穫がない時期の代替品として年間のこの時期に収穫される。「(ピーナッツは)コストと技術と手間がかかる。サトウキビとはぜんぜん違う」と先の生産者の男性は言う。ある農業コンサルタントによれば、同じサトウキビの収穫の合間に収穫される作物でも、ピーナッツの収穫にかかるコストは大豆の2倍。しかし、その分大豆よりも収益が大きいという。(7日付フォーリャ紙より)