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中伯共同開発の地球観測衛星=打ち上げ失敗、南極に落下か

ニッケイ新聞 2013年12月11日

 ブラジルと中国が共同開発した地球観測衛星「CBERS‐3」が9日午前1時26分(ブラジリア時間)、中国の太原衛星発射センターから打ち上げられたが、衛星は軌道に到達できずに地上に落下したとみられ、打ち上げは失敗に終わったことが公表された。10日付エスタード紙などが報じた。
 衛星を搭載した中国の打上げロケット「長征4B」は発射直後は順調に飛行していたが、打ち上げから約1時間後、中国当局がロケットに何らかの問題が生じたことに気づいた。エスタード紙によれば、積載物である衛星が宇宙空間に露出される前の11秒間、ロケットのエンジンが止まり、地上778キロの予定高度に届かなかった。その結果、軌道に乗り続けるための速度を保てず、南極大陸に落下したものと見られている。
 ブラジル国立宇宙研究所(INPE)のオズワルド・ミランダ副所長は「打ち上げ完了直前に11秒の停止が起きるまでは、全て順調だった」と落胆する。同氏によれば衛星は30秒間は軌道に乗っていたといい、「問題は衛星そのものではなく、ロケットにあった」とみている。
 CBERS‐3はChina-Brasil Earth Resources Satellite(中国・ブラジル地球資源衛星)の略称で、中伯共同の資源探査衛星・地球観測衛星。中国空間技術研究院とINPEが共同で開発し、これまでに3機打ち上げられている。
 この打ち上げ失敗を受け、ブラジル政府は直ちに後継機「CBERS‐4」の製造と打ち上げに向けた準備に入りたい意向で、2015年末の打ち上げを目指すという。
 ミランダ氏によれば、12〜14カ月で衛星の打ち上げを準備するのは〃可能〃ではあるが、それは中国側との交渉に依存するという。ブラジル側はミッションを組んで中国を訪問、打ち上げに立ち会っており、団長を務めたマルコ・アントニオ・ラウプ科学技術革新相はあと数日中国に残り、交渉に当たる。
 このCBERSシリーズの前3機は既に運用が終了しており、2010年5月から、自国の資源調査、環境の観測などにおいて外国の衛星からの映像に依存する状態が続いている。