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激減続ける在日ブラジル人の犯罪=少年犯罪も以前の5分の1=上半期の検挙件数急に3倍?!=自動車窃盗団の逮捕が影響

ニッケイ新聞 2013年12月11日





















 2008年の金融危機以降、激減する在日ブラジル人だが、その犯罪件数は人口減少率をさらに上回る割合で減少している。少年犯罪も同様の傾向だ。ところが、今年上半期は前年同期に比べ、検挙人員は減少しつづけているが、件数では一時的に急増していることがわかった。全体的な犯罪傾向としては減少なのに、なぜか検挙件数だけ増加した理由を追った。

 警視庁サイトで公開されている『来日外国人犯罪の検挙状況』の「平成24年(2012年)」と「平成25年上半期」の統計によれば、在日ブラジル人による刑法犯罪の検挙件数は08年以降連続で大幅な減少を見せ続けている。
 12年の確定値(1004件)は、検挙件数の最も多かった07年(7289件)に比べて数の上で7分の1、割合で見ると86%も減少した。検挙人員に関しても07年(931人)から12年(438人)と見事に半減している。在日ブラジル人が07年末の31万人から30%ほどが減少して、ついに19万人を切ったことと比較しても犯罪率の減り方はそれ以上だ。
 一方、〃予備軍〃として懸念されていたブラジル人少年犯罪も、07年には一時的に500件を超えていたが、12年には100件あまりと5分の1にまで減った。
 ところが今年上半期の統計では、在日ブラジル人による検挙件数が前年同期(338件)に比べて、約3倍の946件に激増した。中国人1694件(前年同期に比べ649件減)、韓国人235件(同490件減)など概ね減少傾向にある中で際立った増加具合だ。
 ブラジル人の件数が一時的に増加した理由を調べたところ、11年から12年にかけて組織的に自動車盗を行っていた窃盗グループ犯人ら(ブラジル人9人、ウズベキスタン人2人)が年始から中旬にかけて、つぎつぎ逮捕され、自動車盗等530件が検挙されていたことが分かった。一人当りの余罪数が極端に多いことが急激な件数増に影響したようだ。
 これは、1都9県の広域で被害総額が8億5000万円にものぼり、複数の県警が合同に捜査を行っていた事件だった。組織的に多数の窃盗が繰り返されていたために、検挙件数が急増したものと考えられる。
 最近の犯罪組織の多くは、日本人を含めた複数の国籍のものがかかわっていることが特徴で、海外へ転売目的の組織的な自動車や部品の窃盗は、ここ数年の傾向だ。この一味にブラジル人が含まれていた。
 組織犯罪にブラジル人が巻き込まれて一時的に件数こそ増加したが、従来型の犯罪は大幅に減少する傾向にあることは間違いない。これに関しては、日本で外国人定住対策が進むなど色々な要因が絡む問題だけに単純な憶測は禁物だが、08年以降に帰伯した者との関連も注目されそうだ。