ニッケイ新聞 2013年12月11日
写真=初の八段昇進を決めた岸川ロベルトさん
剣道界から、日本国籍者以外では初となる八段が誕生した。岸川ロベルトさん(48、二世)が11月27日、東京の日本武道館にて行われた八段審査会において見事合格。受審者数1011人の内、合格者は8人で、その確率0・8%という、狭き門をくぐり抜け快挙を成し遂げた。
5歳の頃から父の影響で剣道を始め、幼年部の各大会で優勝するなど、すでにその才能の片鱗を見せていた。その後、有段者の部でも勝ち上がり、国際大会でも好成績を収めていたという。
七段昇進は2000年の頃。日本人でも20年かかるような昇段を13年でつかんだ。合格者は平均年齢60歳前後であり、その若さも特筆すべき点だ。また兄のジョージさん(50、同)は98年、ブラジル人として初めて七段昇進に成功しており、ブラジル剣道界の門戸を開いたような存在である。
一報を伝えに来社した、南米剣道連盟の岸川吉朗理事(七段、教士)は「ブラジル剣道界にとっては奇跡的な出来事。指導者として達成感を感じる」と喜んだ。
今でこそ世界54の国と地域が協会を持ち、世界的な普及を見せてはいるが、八段合格者は日本国外の競技者からはまず出ないと考えられていた。
今回の昇進を受け、ロベルトさん本人は「ブラジルで生まれたにも関わらず、剣道の世界で成功してこられたのは、日系人の先生方のおかげ。全伯剣道連盟にもお世話になった。関係者の方々、また父や母にも感謝です」とコメントを寄せている。