ニッケイ新聞 2013年12月12日
2013年のサッカー全国選手権(ブラジレイロン)では例年は見られないような現象が起こった。それは、アトレチコ・パラナエンセ、ヴィットーリア、ゴイアスという、例年ならそこまで上位に入らなかったチームがそれぞれ3位、5位、6位に入る健闘を見せたのだ。
ブラジルの場合、ヨーロッパでのレアル・マドリッドやバルセロナ、マンチェスター・ユナイテッドのような飛びぬけた「ビッグ・クラブ」こそないものの、サッカー界は「12強」と呼ばれるクラブが、長年、強さと人気を独占している。それも、サンパウロ、リオ、ベロ・オリゾンテ、ポルト・アレグレという「ブラジル4大都市」(及びその郊外都市)のチーム以外が全国規模の大会で優勝することは、長い歴史を見てもほとんどない。
だが2013年は優勝こそしなかったものの、上位6チームのうち、3チームも「12強」以外のチームが入った。しかもこの3チームは全て、12年は2部リーグの所属だったのだ。
パラナエンセ、ヴィットーリア、ゴイアスは、例年1部リーグの10位前後から2部降格圏内を争うチームだったが、今年は昨年の2部リーグで優勝争いをした勢いをそのまま1部に持ち込んだ形となった。
この3チームの今年の活躍をヴィットーリアのネイ・フランコ監督は「3チームとも組織がしっかりしていて、立派な練習場があるからね」と語る。ネイ氏は13年初頭までサンパウロFCで指揮をふるっていた監督だ。
この3チームの年収は、コリンチャンスやフラメンゴのような人気チームには到底及ばない。この2チームが試合のテレビ放映の放送権料などを含め、年に1億レアル以上の収入があるのに対し、3チームの年収はみな3500万レアル以下で、約3分の1の収入しかない。
そんな財政的な不利を補ったのは、時間をかけてチームの基盤を作り上げる計画性だという。ゴイアスのエンデルソン・ペレイラ監督は「2部でチームの基盤をしっかり固めた。そのメンバーをあまり失わない形で、1部で戦える戦力を探した。メンバーも2年同じ体制でやって、このチームのやり方をしっかりわかっているからね」と躍進の原因を語っている。
かたや、今年18位に終わり2部降格が決定した「12強」のひとつ、リオの名門ヴァスコ・ダ・ガマは、選手への給料の支払い遅れや練習場の不備などが指摘されている。(11月2日付フォーリャ紙の引用あり)