ニッケイ新聞 2013年12月12日
サンパウロ州グァルーリョス空港(以下クンビッカ)ではコンゴーニャス空港よりも、利用客が空港で犯罪に遭う率が3倍高いと9日付エスタード紙が報じた。
今年の1月から10月までに連邦警察と市警に登録された犯罪発生件数は、クンビッカでは利用客10万人当たり5・5件。一方、コンゴーニャスでは10万人に2件の計算になる。被害者のいる犯罪(盗難、強盗、殺人、障害、侮辱行為)はそれぞれ1361件、237件となっている。
クンビッカで犯罪発生率が高い原因の一つは人の多さだ。「犯人が偽装しやすく、逃げ口も多いため検挙率が低い。一方で、コンゴーニャスは犯人を包囲しやすい」と元軍警司令官は話す。国際空港ゆえに外国人も多いため、「当地の事情を知らない外国人、価値の高い金品の所持者も多い」と指摘する声もある。
また、クンビッカでは1人の見送りに10人、迎えには15人以上来るのが普通で、利用客以外の人の出入りも多い。クンビッカの利用客数は9万8千人/日だが、ただ訪れる人は15万人でサンカエターノ・ド・スル市の人口並み。コンゴーニャスは各4万6千人、6万人となっている。
盗難や強盗は主にロビー、チェックインカウンター、レストラン広場など、利用客の注意が逸れやすい場所で頻発している。ある捜査官は、犯罪の90%はコロンビア、ペルー、ボリビア、チリ人らからなる〃アンデスのギャング〃の仕業だと明かしている。
警察側の最大のストレスは泥棒を捕まえるのが困難なことだ。盗難の現行犯は、保証金を払えば釈放されることもある。今年に入って3回逮捕されたペルー人は、釈放されるたびに違う名前で戻ってきているという。
クンビッカではロビーでの盗難件数と到着する荷物での盗難件数がほぼ同数。盗難総数の18%が荷物受け取り口で、20%がロビーで気付くという。この種の犯罪は専門の犯罪集団によるもので、航空会社職員と手を組んでいることもある。
ある28歳の女性は11月、ラスベガス発マイアミ経由で帰国した際、スーツケースが紛失。2日後に手元に届いたが、衣服、香水、鞄、土産物が全て無くなっていたという。35歳の技術者男性はマイアミから帰国した時、写真機が盗まれ少なくとも300ドルを失った。米国発の便の場合は要注意のようだ。
エスタード紙は注意事項として、情報を求めてくる2、3人組に注意すること、何かを尋ねたいときは空港警察官か航空会社職員に尋ねること、荷物を受け取るときは預けた時と同じように閉じた状態になっているかどうかの確認などを挙げる。サンパウロ州の空港内には市警観光客専門警察(Deatur)がある。