ニッケイ新聞 2013年12月12日
サンパウロ市から331キロのタバチンガ市は〃縫いぐるみの町〃として知られていたが、中国製品の大量輸入で〃赤ちゃん用品の町〃に様変わりしたと11日付フォーリャ紙が報じた。
中国製品の輸入は衣類や日用品に止まらず、あらゆる分野に広がっているが、人件費の安い中国が大量に作る玩具は、ブラジルの市場を駆逐。タバチンガ市の商工連盟(Aciat)によると、同市では、最盛期には52軒あった縫いぐるみ製造工場が、10軒に減ってしまった。残る42軒は、赤ちゃん用品に転向したり縫製を諦めたりしている。2009年の時点では、縫いぐるみ製造業者が46社、その他の衣類製造が11社だった。
Aciatのマルセロ・コウラ会長は「輸出入の経費を入れたって、国産品より安いんだから太刀打ちの仕様がない」と発言し、縫いぐるみ製造業者が減ったのは中国との競争に勝ち残れなかったためだとの見解を明らかにした。
35歳のファビオ・アレッシャンドレ・コスタさんは縫いぐるみ製造に5年間携わってきたが、現在は赤ちゃん用品に特化。「同じ材料、同じ人数の職員を使うならこっちの方が収入がいいからね」という。
27歳のアルトゥール・エドゥアルド・スピノラさんは縫いぐるみ製造を続けている数少ない業者の一人だが、製造する縫いぐるみの数は09年の7千個から4千個に激減。「この仕事を始めた頃はまだまだ稼げたけど、今は続けていくのでやっとだね」という。
タバチンガ市は人口1万5千人の小さな町で、現在も971人が縫製業に携わっている。