ニッケイ新聞 2013年12月12日
移民史料館企画展の挨拶で宮尾さんは、西村さんが「儲けたお金を社会に還元しなければ」との信念を持っていたと指摘し、同じ明治生まれで人文研初代理事長の中尾熊喜さんを引き合いに出した。「中尾さんも同じような考えから、笠戸丸で移民し故郷に帰れない人を、訪日させる活動をしていた。明治生まれの人間には、そんな共通点があった」と述べた。西村さんは「いかにも明治生まれの人物らしい生涯。このような人間はもう生まれてこないだろう」と一抹の寂しさも漂わせた。コロニアの文化事業を山ほど支援した両人。その崇高な志を継ぐ人は…。
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最近日本のドラマや映画などに日系ブラジル人の登場人物がよく出てくる。現在日本で公開されている『四十九日のレシピ』という映画にも、「近くの工場で働く日系ブラジル人」役を、人気若手俳優が演じている。大衆が目にする娯楽作品に登場する日系ブラジル人は、世間一般が持つそのイメージが結晶している。人気俳優が演じているなら、悪い役ではないだろうが、どんな役周りなのか少々気になるところか。