ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | ショッピングは大迷惑も=若者の人気集めるファンキの集会

ショッピングは大迷惑も=若者の人気集めるファンキの集会

ニッケイ新聞 2013年12月17日

 現在、ブラジルの若者たちのあいだで「ファンキ」と呼ばれる音楽が流行っているが、この音楽をめぐり、サンパウロのショッピング・センターでは現在トラブルが続出している。
 ファンキはアメリカフロリダ州マイアミのダンス・ミュージックに影響を受けた音楽で、「ファンキ・カリオカ(リオ・ファンク)」とも呼ばれていたように、元はリオのファヴェーラから派生した音楽だ。音楽的に言えば、速いテンポに乗ったテクノ・ミュージックにラップを加えたものが一般的だ。ファッション的には、金色の鎖のアクセサリーにスポーツ帽など、アメリカの黒人のヒップホップ・ファッションを手本にしたものが目立っている。
 このファンキは、長い間ヒットチャートの上位を占める音楽というわけではなかったが、全国規模で少年少女のあいだで口コミで広がった。特にファヴェーラなど貧困地区で、無料のコンサートやパーティなどを行なうことが魅力のひとつで、会場には「路上」が選ばれることも多かった。だが、騒音や暴力沙汰などが問題となり、サンパウロをはじめとして路上でのイベントを禁止するところも目立っている。
 だが、サンパウロのファンケイロたちは「路上がダメなら」と考え、新しい会場をショッピング・センターの駐車場に定めてきた。彼らはツイッターやフェイスブックを使って、イベントの開催をファンに伝え、ショッピングの許可を取らないまま強硬的にイベントを行なってきた。
 だが、ファンキの人気が過熱していくことで、イベントには想像を遥かに越える人数が集まっている。象徴的だったのは12月7日、サンパウロ東部のショッピング・イタケラで行なわれたもので、このイベントにはなんと1万人の若者たちが殺到した。通常では考えられない人の群れに加え、このイベントを見に来た客が窃盗などを働いたためにショッピングは大混乱し、警察沙汰となった。
 これ以降、警察はショッピングでのファンキのイベントに警戒を示すようになった。14日にはサンパウロ市近郊のショッピング・インテルナシオナル・デ・グアルーリョスでイベントが行なわれ、15人の少年たちがショッピング内で窃盗などの不法行為を働いたとして補導された。
 パンクロックやヒップホップといった、今や確立された音楽も、かつては路上の若者たちの本音を集める形で成長。時には不良的な態度や素行が問題となり、大人に煙たがられながらも影響力を大きくしていった。そういう歴史を知る人には、現在のファンキに理解を示す人も少なくはないだろうが、公共の迷惑や犯罪とどう折り合いをつけるかには課題が残る。
 なお、ファンキは2013年に入りヒットチャート的な一般人気を獲得する存在にもなってきている。調査会社クロウリーが出したデータによると、今年のブラジルのラジオで最もかかった楽曲で、ファンキの人気者、アニッタとナウドの2人が上位10曲に入っている。(15日付フォーリャ紙、16日付G1サイトなどより)