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スタジアム建設で犠牲者=マナウスでまた作業員が死亡=労働検察が作業停止命令

ニッケイ新聞 2013年12月17日

 アマゾナス州マナウスで建設中のスタジアム「アレーナ・アマゾニア」で14日、2人の作業員が死亡する事故が起きた。W杯に向けたスタジアム建設現場での死者数はこれで6人となった。15日付エスタード紙などが報じた。
 22歳のマルクレウド・フェレイラさんは14日、同日未明からスタジアムの屋根の組み立て作業を行っており、午前4時頃、座っていた場所から落下したとみられる。その後、救急診療所に運ばれたが、午前中に息を引き取った。
 49歳のジョゼ・アントニオ・ナシメントさんはトラックの傾斜台に上ったときに気分が悪くなり、コンベンションセンターのアスファルト舗装のための掃除と地ならしをしている途中で心筋梗塞で亡くなった。緊急医療サービス(SAMU)が呼ばれたが助からなかった。
 同スタジアムではイングランド対イタリア戦などを含む4試合が予定されている。今月31日までに落成予定で、進捗度は92・83%と完成まであと少しの状態だった。スポーツ省によれば落成時期は延期され、コンベンションセンターは6月にしか完成しない見込みだという。
 被害者の家族は亡くなった作業員らの労働条件が悪かったと抗議しており、16日付G1サイトによれば少なくとも1800人が作業の安全性確保などを訴えて同日朝からストを決行。作業を完全にボイコットしている。アマゾナス州建設作業員組合(Sintracomec)のシセロ・クストジオ会長は「アレーナ・アマゾニアは最も多額の予算がかかっているが工事は遅れ、作業員は日々プレッシャーを感じていた。人手も足りないし、過重な負担を強いられている」と主張している。
 この2人の死亡で、同スタジアム建設現場での死者は計3人に上る。3月には49歳男性が柱から足場へ移動しようとして足を踏み外し、50メートルの高さから落下して死亡したほか、11月にはサンパウロ市のイタケロンスタジアムで2人、昨年はブラジリアのマネ・ガリンシャスタジアムで1人が亡くなっている。
 16日付エスタード紙によれば、労働検察局の申し立てにより、労働裁判所は工事を一部中断する命令を出した。これにより地上から一定の高さ以上の場所での作業は全て禁止された。検察は工事を担当する建設会社アンドラーデ・グティエレスに対し、詳細な鑑定書、必要最低限の労働条件を守っていたことを示す書類、高い場所での作業での安全対策を示した書類の提示を義務付け、同社が法的措置に従わず、作業中止期間中に作業員の給与を支払わない場合に1日10万レの罰金支払いを命じている。