ニッケイ新聞 2013年12月17日
アルゼンチン政府が12日、第1四半期の乗用車や軽量商用車などの輸入を昨年同期比で20〜27・5%削減すると発表、ブラジル自動車業界や貿易収支に多大な影響が出そうだと14日付伯字紙が報じた。
12月第一週にフェルナンド・ピメンテル商工開発相が同国を訪問した時には何のコメントもなく、突然との感を拭い切れない措置だが、市場では、今年だけで21%という外貨準備高の急速な減少を防ぐためとの見方が一般的だ。
具体的なメーカーや車種は未公表。欧州や日本から輸入している高級車の削減率が大きく、ブラジルからの中型や軽量車両は削減率が小さいとの情報もあるが、1〜11月のブラジルが輸出した自動車販売額50億ドル中、亜国への輸出は87%の44億ドルを占める。
一方、亜国側から見た場合、1〜10月の同国の輸入車に占めるブラジル車の割合は全体の67%。自動車部品の輸入でもブラジル産は57%を占めている。同国の自動車輸入額は、同じ時期に昨年同期を44億ドル上回る58億ドルに上り、輸入超過額は昨年同期比43%増の43億ドルに達した。自動車部品も含む今年の輸入超過額は80億ドルに達する見込みだ。
このような状況下で亜国政府が突然の輸入規制を発表したのは、自動車部品工場などを同国内に建設させ、国内生産を増やすためとも見られているが、市場では同国内での自動車部品製造の採算を疑う声も出ている。
ブラジルにとって自動車産業は生産や輸出が安定している少数分野で、中国へのコモディティ輸出が縮小し、隣国への自動車輸出も減少では貿易収支にも影響が出そうだ。
伯亜間には亜国からの自動車や部品輸出100ドルに対し、ブラジルは195ドルまで輸出できるという協定があったが、6月末に期限が切れ、再交渉の予定だ。ブラジル側は、今回発表の輸入規制撤廃も申し入れる意向だ。