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年明けから文協工事開始か=3月の寄付1億円その後=9カ月かけようやく計画案=「15年の60周年に向けて」

ニッケイ新聞 2013年12月17日

写真=多目的ホール工事案を説明する大田レオ広報担当理事







 大塚実氏による寄付金1億円目録授与式が3月末にあり、一週間後には実際に口座に振り込まれた。それから足掛け9カ月がすぎたこの14日、ブラジル日本文化福祉協会(木多喜八郎会長)は第145回定期評議員会を行い、ようやく工事計画案を承認した。代理者含め52人が出席し、2014年度の事業方針、計画案、予算案に加え、同工事計画案が承認された。年明けからは、やっと工事に向けた見積もり、請負業者の選定となり、本格的な動きが期待されている。

 同1億円の使途には当初から「大講堂改修」「体育館を多目的ホールに改修」「移民史料館収蔵庫・事務室改装」「日本館修復」の4工事計画が挙がっていた。木多会長はあいさつで改修工事にふれ、「設計が終わった。来年の文協従来の活動に影響がないよう、配慮しながら工事が進められる。旧援協診療所スペースを利用した多目的ホール開設にも着手できる見通しとなり、2015年の文協創立60周年に向け、来年中に工事実施する予定」と述べた。
 評議員会の前の11日、特別委員会(花城アナクレット委員長)が会議を行っており、文協ビル改修の設計方針、着工時期の選定などを話し合った。木多会長も先週半ばには「あとは着工時期を見極めるだけ」と本紙にコメントしていた。
 同委員でもある山下譲二副会長は「大塚氏にも進捗状況は報告している」と言う。特別委員会自体はこの間で2回目だったが、基本設計など建築技師との打ち合わせは毎週のように行っていたという。委員会を開くために、まず具体的な工事内容と費用を照らし合わせ、様々な資料を用意していたと説明した。
 山下副会長は「構造上できること、できないことを見極める必要もあり、改修設計には時間がかかる。施工の前に調整しなければいけない点も多く理解してほしい」と語り、設計の確認と業者選定のため来年早々にも次回の特別委員会を開く意向だという。
 移民史料館は改修計画ができており、着工時期は運営委員会にほぼ任されている。評議員会後、山下リジア副運営委員長は「来年早々から工事に向け準備をしなければ。4、5社に絞った中から請負業者を決め、史料を移動するなど、1月末から工事が出来るよう進めたい。期間は3カ月以内に収めたいが、業者と協議を進める必要がある」と話し、工事に向けた具体的な動きを示した。
 評議会では審議されなかったが本紙が取材したところ、工事には4、5カ月間かかるため、2回に分けて行う案があり、山下副会長は「3月頃と9月頃で行えれば」との希望を語った。
 日本館の第2期(最終)工事に対し、文協事務局は「具体的な日程は決まっていないが、中島工務店の中島紀于代表が来伯する日時を調整し、中島氏本人の意向も含め建設60周年を迎える来年中に完了させたい」との展望を示した。
 なお、木多会長は入金前の2月6日付け本紙記事中で「透明性の確保のためにも、今後は定期的に進行状況を報告する会見を行っていく」と話していたが、入金後の8カ月間、そのような会見は一度も開かれなかった。