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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2013年12月18日

 来年は3月がカーニバル、6月がW杯、10月が大統領選挙——と大イベントが集中しており、息つく間もなく、アッという間に一年が過ぎさるだろう▼カーニバルでは地元開催W杯への期待を、お祭り気分で盛り上げるに違いない。W杯でセレソンが勝てば、今までやってきたことは正しいとばかりに、10月の選挙では現政権に有利な雰囲気が醸成され、早々に負ければ野党に有利な情勢となることも予測される▼〃2億総代表監督〃のブラジル民にとって、たとえどんなにW杯で善戦しても、優勝以外は「失敗」に過ぎない。2位以下の結果は全て同じという、高いハードルが設定されている特殊な国だ▼世界にブラジルの国名を轟かせるべく、初優勝を期待されて地元開催をした1950年に、決勝戦でまさかの敗退を喫したトラウマ〃マラカナンの悲劇〃は、歴史的な屈辱となっている▼悲劇を起こしたウルグアイが今回、敗者復活戦の最後の最後で不気味にも大会出場を決めた。その時、ウルグアイの国旗に包まれた幽霊がリオの町に出現するビデオが、ネット上で話題になり悲劇再来への危機感を煽った▼もし、ブラジル代表が4強にすら入れずに早々に敗退し、「大金を投じてスタジアムを建設した責任をとれ」とばかりに、抗議行動に火を注ぐ結果になれば、ジウマにとっては致命的な打撃となるかもしれない。W杯の不満が政治に反映されて、少しでも政界浄化が進めば、長期的に見れば良い結果ともいえる▼セレソンが試合ごとに成長を見せ、見ごたえのある展開となれば、サッカーに心酔する貧困層はPTへの忠誠をさらに強める。試合と共に来年の〃見どころ〃だ。(深)