ニッケイ新聞 2013年12月19日
ミナス・ジェライス州連邦大学(UFMG)が16日、ロンドニア州内からコロンビア領内にかけてのアマゾンの森林部で、世界で5番目となるバクの新種を発見したと発表した。
1865年以降、初めて発見されたバクは、ブラジル国内にいる在来種で重さ320キロに達するタピルス・テレストリスより小型で、成獣でも110キロ程度。先住民達には古くから知られていたが、科学者達は本気にせず、10年がかりの調査の結果、その存在が確認された。新種のバクには、捕獲された地域に住む先住民族の言葉でバクを意味するアラボ・カボマニから、〃タピルス・カボマニ〃という学名がつけられた。
UFMGのマリオ・コズオル教授はロンドニア連邦大学に在職中の2002年、女子学生の一人にバクの化石を研究するよう指導した。在来種のバクの頭蓋骨の化石との比較研究を行った学生は、教授から研究するよう指導されたバクの化石と一般に知られているバクの化石とは種類が違うと判断。そこから新しい探求が始まった。
マリオ教授らは先住民や川沿いの部落に住む住民、猟師といった人々にインタビューを行った後に現地調査を開始。新種のバクの生態を捉えるために随所にカメラを設置するなどして、バクを生け捕りにする事にも成功し、遺伝子や骨格の研究を進めた。
新種のバクは、一般に知られている種より小型でやや色が濃く、足も短め。体表面の毛は一般種より短めで、額が在来種より広いなど、頭蓋骨の形にも差が見られた。また、オスのバクは頬が黒っぽいがメスの頬はオスよりも明るい色というように、一般的なバクにはない性差も見られる。
新種のバクはより開けた場所を好む傾向があり、UFMGのファブリシオ・サントス教授は、「彼らの生息域は大豆栽培や牧畜のために開発される可能性が高く、生息域が狭められる危険度が高い」と案じている。(18日付エスタード紙より)