ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | スノーデン=ブラジルへ亡命を希望か?=情報提供と引き換えに受入要請=ジウマのスパイ批判を絶賛=政府は受入に否定的も

スノーデン=ブラジルへ亡命を希望か?=情報提供と引き換えに受入要請=ジウマのスパイ批判を絶賛=政府は受入に否定的も

ニッケイ新聞 2013年12月19日

 米国の国家安全保障局(NSA)がブラジルを含む全世界規模でスパイ活動を行なっていることを暴露し、現在ロシアに亡命中のエドワード・スノーデン氏がブラジル国民への公開文書を書いていたことや、スノーデン氏のブラジルへの亡命受入を求めるキャンペーンが計画されていることが判明した。だが、ブラジル政府はそれに対して難色を示している。17〜18日付伯字紙が報じている。

 公開文書の存在は17日付フォーリャ紙の報道で明らかにされた。この文書は非政府のオンライン団体アヴァース(Avaaz)が主導する、ジウマ大統領に対し、スノーデン氏の亡命受け入れを嘆願するキャンペーンの文書にも転載される予定だが、ブラジル政府にはまだ直接届けられていない。
 英文の文書は、17日にダヴィド・ミランダ氏によってフェイスブックに掲載された。同氏はこの6月にスノーデン氏からNSAの実態を聞いて暴露したリオ在住の米国人ジャーナリスト、グレン・グリーンウォルド氏の恋人としても知られ、アヴァースのキャンペーンも主導する予定だ。
 スノーデン氏は同文書で「ブラジルの多くの上院議員から、(ジウマ大統領やペトロブラスを含む)ブラジル市民に対するスパイ活動の真相を探るのを助けて欲しいと依頼を受けている」とし、上院のスパイ問題特別委員会について触れた。
 だが、「私としては是非協力したいが、残念なことに米国がそれを許しはしない。私を受け入れてくれる亡命先が確定しない限り、米国は私の行動を制限してくる」と続けた。スノーデン氏は14年5月までの期限付きでロシアに亡命中だ。
 また、スノーデン氏は、スパイ問題発覚後、ジウマ大統領が国連でこの問題に触れ、米国に圧力を加えたことに感謝している、と書いてもいる。
 スノーデン氏は6月にブラジルを含む21カ国に亡命嘆願書を出したが却下されている。同氏は11月、ドイツにも同様の公開文書を書いている。
 今回の文書は正式な亡命嘆願としては微妙な扱いで、パウロ・ベルナルド通信相は亡命についての発言こそ避けたもののスノーデン氏を「世界に対し非常にためになる情報を流してくれた」と評価し、上院スパイ問題委員長のヴァネッサ・グラッツィオティン氏はジョゼ・エドゥアルド・カルドーゾ法相にスノーデン氏の亡命受入を求める意向だ。だが、連邦政府や野党議員の中では、同氏を受け入れることで、ブラジルと米国の関係悪化を恐れる声もある。
 外務省は17日、米国諜報機関の捜査はブラジルの関心事ではなく、情報提供と引き換えに同氏の亡命を受け入れる意思はないことを明らかにした。これはルイス・フェルナンド・フィゲイレド外相がペルナンブーコ州を訪問中のジウマ大統領との電話協議で決まったことで、「正式な亡命嘆願を受け取ってから対応を協議する」と述べている。
 ブラジルは1999〜02年に元パラグアイ大統領のラウル・クバス・グラウ氏の亡命を許可したことがある。