サンパウロ市=17万人の待機児童対策=裁判所が保育所定員増命令=市民団体の訴え認める
ニッケイ新聞 2013年12月19日
サンパウロ州裁判所は16日、サンパウロ市に対し、ハダジ市長の任期が終了する2016年までの2年間で、市内の保育所や幼児教育課程で15万人の定員増を命じる判決を出した。半数は18カ月以内に増やす必要があるが、市の教育局は不可能だと反論している。17日付エスタード、フォーリャ両紙などが報じた。
裁判所が命じたのは、全日制の保育所(0〜3歳児)の定員を10万5千人、就学前教育を行う幼児教育課程(4〜5歳児)の定員も4万5千人増やすことだ。裁判所が市役所にこのような命令を出すのは初めて。
これにより、市は定員枠増加に向けた計画書を60日以内に提出する必要に迫られている。10月時点の保育所への入所待機児童は17万人で、市は今年新規の保育所を17カ所開き、1万2千人の枠を設けている。高等裁は残る約15万6千人の待機児童のうち、特に貧困家庭の子供を優先することも命じている。
市には一学期ごとに報告書の提出も義務付けられ、監査委員会も設置される。報告担当のワルテル・デ・アルメイダ判事は「憲法が保障する行政サービスが行われていない場合、司法はそこに関与する権限がある」とエスタード紙に語った。
非営利教育団体アッソン・エドゥカチーバ、市民団体ノッサ・サンパウロは今年8月から、州検察、デフェンソリア・プブリカ(州の法的機関)の協力を得て保育所の充実を市に訴えてきたが功を奏さなかった。そこで、ハダジ市長の選挙公約の遵守を訴え訴訟を起こしたが、これら団体と市の間の和解が成立せず今回の判決に至った。
セーザル・カレガリサンパウロ市教育局長は「司法判断は尊重するが、コミットメント(約束)は市民に対してするもの」とした上で、「裁判所による土地の没収(所有権の市への移譲)が悠長で、とても達成できない」として18カ月での半分の枠増設は不可能と反論する。
来年度の市の予算案審議はこれからだが、現在の案は、IPTU値上げによる増収見込み分の8億600万レが組み込まれている。来年からのIPTU値上げに対しては先週、高等裁が差止めの暫定令を出しているが、市の上告が棄却され、最大35%の値上げができなくなった場合には、教育局に当てられる予算は2億4900万レ減り、3100万レとなる。
同局長は18日放送のエスタード局のラジオ番組で、「IPTU値上げによる収入の約30%は幼児教育に当てられる。市長の懐に入るわけではない」とも話している。
もし値上げが認められなくなった場合には各部門での予算がカットされる見込みで、保健医療部門で1億4600万レ、交通部門で1億3100万レ減ることになる。