ニッケイ新聞 2013年12月19日
イギリスの列車強盗犯で、ブラジルに30年以上潜伏していたロナルド・ビッグス氏が18日、ロンドンの療養施設で亡くなった。84歳だった。18日付伯字紙サイトが報じている。
1963年8月8日、当時34歳だったビッグス氏は15人組の強盗団の一人としてグラスゴー〜ロンドン間の貨物列車を襲い、合計260万ポンド相当の現金袋120個を盗んだ。
ビッグス氏は翌64年1月に逮捕され、懲役30年の実刑判決を受けてロンドンの刑務所で服役していたが、65年7月に脱獄。同氏は整形手術を受け、66年から4年間オーストラリアに逃亡していた。
ビッグス氏は1970年にブラジルへ逃亡しリオに移住した。そのことは1974年に発覚したが、このとき、恋人のライムンダさんが妊娠していた。当時のブラジルの法律では、ブラジル人の子供の父親は外国人であっても国外追放はされないと規定されていた。また、当時のイギリスの法律でも、同国の逃亡犯が逃亡先の国で逃亡犯として扱われていない場合、送還司令を出せないことになっていた。
1997年8月、イギリスはビッグス氏の送還を求め、ブラジルの最高裁で裁判を行なったが同年11月に下った判決で、イギリス側の要求は却下されることとなった。
その間、ビッグス氏はライムンダさんとの間に3人の子供をもうけ、長男のマイケルさんはブラジルの子供番組でアイドル歌手になった。また、1978年にはイギリスのパンクロック・バンド、セックス・ピストルズがブラジルへ赴き、ビッグス氏のヴォーカルで2曲を録音したことでも話題となった。ただ、暮し向きは良くなく、イギリスからの観光客に対して自分のロゴの入ったTシャツや人形を売っていた。
2001年、ビッグス氏は体調不良となったことでイギリス帰国を希望し、そこで逮捕された。だが、心臓発作や感染症などの病気が続き、09年8月に釈放された。