ニッケイ新聞 2013年12月19日
ロシア議会が18日、石油採掘のための北極海開発に対する抗議行動ゆえに9月19日に身柄を拘束されたアナ・パウラ・マシエルさん(31)ら、環境団体グリーンピースのメンバー30人に恩赦を施す法案を承認したと同日付各紙サイトが報じた。
アナ・パウラさんはブラジル人の生物学者で、北極海の生態系に大きな影響を及ぼす同海域での石油採掘に反対するため、非政府団体グリーンピースの船に乗り込んで北極海に向かったが、平和的な抗議行動にも関わらず、28カ国から参加したメンバー30人が全員、海賊行為などの容疑で身柄を拘束された。
アナ・パウラさんは、身柄拘束から約2カ月後の11月20日に自由の身でその後の裁判を受ける事が認められ、釈放されたが、国外に出る事は認められていなかった。
この件に関しては、国際的に批判が高まり、ソチ五輪の行方にも不安が広がっていたが、そんな折に発表されたのが今回の恩赦だ。グリーンピース側によると、この恩赦により、活動家28人とジャーナリスト2人に対する裁判は全てキャンセルされ、ロシア国籍者以外の人々は母国に帰る事が認められる。ロシアからの出国には同国が発行するビザが必要で、出国出来るのがいつになるかは未定だ。
アナ・パウラさんは現地での取材に、安堵しつつ、「身に覚えのない罪で訴えられ2カ月も牢に放り込まれた。でも、この苦難もやっと終わり、しばらくすれば家族にも会える」と語っている。