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国連総会=伯独主導の提案採択=プライバシーの保護枠拡大=外務省が満足の意を表明

ニッケイ新聞 2013年12月20日

 国連総会本会議が18日、ブラジルとドイツ主導の「デジタル時代のプライバシー権」と題する通信傍受懸念決議を全会一致で採択し、ブラジル外務省が満足の意を表明したと同日付アジェンシア・ブラジルや19日付エスタード紙などが報じた。
 18日の本会議で採択されたのは、人権問題を扱う国連第3委員会が11月26日に全会一致で採択した決議だ。同決議では、電子メールや電話通話記録などの個人情報収集が個人の表現の自由を脅かし、基本的な人権に悪影響を及ぼす事を懸念し、デジタル通信も含めたプライバシー保護を各国に求めている。
 同決議の文面では米国を直接名指ししていないが、この決議は、米国国家安全保障局(NSA)元職員のエドワード・スノーデン氏が、NSAが大規模な盗聴活動を行っていた事を暴露した事を受けて提案された。
 ジウマ大統領は9月の国連総会でNSAによる情報収集を批判、国際社会がこの問題に取り組むよう提案した。その後、ドイツのアンゲラ・メルケル首相の個人情報も標的となっていた事が判明したため、11月1日にブラジルとドイツが主導して決議案を提出。最終決議案は原案より若干柔らかい表現になっているが、同月26日に第3委員会、今月18日に本会議で採択された。
 今回の決議採択で、インターネットやデジタル通信といったオンライン上の情報も、オフラインの情報と同様、国際的な人権法に基づくプライバシー保護の対象となる事が国連の枠組みの中で明確にされた事になる。
 同決議では、情報活動の透明性を確保し、国による監視活動の説明責任などを果たせるような監督メカニズムの確立や維持も要求している。国家の安全を理由とする場合であっても、通信情報の監視時は、家族、家庭、郵便物などと同様のプライバシー保護義務遂行が求められている。
 米国では、NSAの情報傍受が行き過ぎていたとの判断が司法当局ならびにオバマ大統領が設けた諮問委員会から出ており、1月にはそれに対する米国政府の措置が発表される見込みだ。
 ブラジル外務省は18日、今回の国連決議により、ブラジルが提唱したプライバシー権と表現の自由が国際的に認められ、一市民の権利はオフライン上であってもオンライン上であっても保護されるべきである事が明確にされたとして、満足の意を表明した。また、国連では今後も数カ月間、デジタル時代のプライバシー権についての議論が続くとの見通しも明らかにした。