ニッケイ新聞 2013年12月20日
軍事政権(1964〜85年)前の旧民主制最後の大統領として知られる〃ジャンゴ〃ことジョアン・グラール元大統領に対し、連邦議会は18日、軍政開始のきっかけになったクーデター直後の議会による同大統領罷免を取り消し、同大統領の名誉回復を行なった。19日付伯字紙が報じている。
レナン・カリェイロス上院議長はこの式典で、「ブラジルが当時間違った愛国心によって動いていた」ことを詫びたのち、ジャンゴ氏の遺児であるジョアン・ヴィセンテ・グラール・フィーリョ氏の手に、ジャンゴ氏の職務復帰を記した証明書を授与した。証明書を手にしたジョアンさんは、かけつけたジウマ大統領の抱擁を受けた。大統領はこの日、スピーチは特に行なわなかった。
今回の名誉回復は、ランドルフェ・ロドリゲス上議(社会主義自由党・PSOL)とペドロ・シモン上議(民主運動党・PMDB)の提案によるもので、1964年4月2日、軍によるクーデターがあった2日後に強行されたジャンゴ大統領の罷免を取り消す形で行なわれた。この罷免は、身の危険を案じたジャンゴ氏が地元である南大河州ポルト・アレグレに身を寄せていたにもかかわらず、「国外逃亡」として扱われ、当時下院議長だったパスコアル・ラニエリ・マジーリ氏の大統領就任を議会が一方的に宣言したことで起きた。
レナン議長は「私たちは49年間過ちを認めてこなかったが、今ここに、ジャンゴ氏が逃亡をしたのでなく、抵抗しようとして犠牲になったことを認める」と宣言した。ジョアンさんは死因解明のために掘り起こされた元大統領の遺骨を再び埋めたとき同様、「民主主義は勝ったのだと亡き父に言いたい」と強い感謝の念を口にした。
式典にはエンゾ・ペリ(陸軍)、斉藤準一(空軍)、ジュリオ・ソアレス・デ・モウラ・ネット(海軍)の各軍総司令官も出席したが、職務復帰の証明書授与のときも拍手はしなかった。