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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2013年12月21日

 和尚さんも逮夜に走り忙しいとされる師走もあと少しで幕引きとなる。年越し、正月を迎えるお節もあるし、煤払いや注連飾りと主婦も汗を流して働く。お釈迦さまが悟りを開いたとされ、仏教では12月8日を臘八会とし、禅宗では1日から8日まで不休不眠で接心し、8日の朝には粥に昆布や茶などを混ぜた温糟粥で衰弱気味の身体に活力を与える。尤も、師走侍や師走坊主もいるのだから単純に喜んでばかりもいられない▼と、ここまで記したところへ猪瀬都知事の辞意表明が飛び込んできた。あの徳洲会から5千万円を受け取った問題に都議会の怒りが爆発し、自民と公明の与党も「辞職」への圧力を強め始めたし、強気の左翼思想家も行き場がなくなったに違いない。この件については、本欄でも先ごろ取り上げ、平身低頭して謝罪せよと要求したが、その後も図太く居直っていたのは、ご承知の通りである▼猪瀬氏は、都知事選挙のときに徳洲会に「1億円の支援」を要請し、会長の寅雄氏の指示で5千万円を受領したのだが、都議会の厳しい非難にも虚偽発言を繰り返し、真実は闇の中に包まれていた。兎に角、徳田毅衆議から議員会館で現金を受け取ったのは間違いない。その帰途にも公用車を使い自宅へ真っ直ぐに帰宅と語っているが、後の調べでは事務所に立ち寄っていることも判明している▼このいい加減さに政治の師匠である石原慎太郎氏が、恐らく怒りをも含めてだと思われるが,猪瀬知事と協議し「辞任表明」になった。最後まで腑抜けの東京都知事殿であったのは、何とも情けない。(遯)