ニッケイ新聞 2013年12月24日
ビール製造業者の組合、CervBrasilによると、1〜11月のブラジル人のビールの消費量が1缶/月減っており、この夏の気候がどうなるかと、企業家達が気を揉んでいる。
1人1缶なら大差はないという向きもありそうだが、1〜11月のビール製造量は昨年同期の122億8500万リットルから119億8800万リットルにと2・4%減っている。夏は稼ぎ時と考える関係者にとり、消費量減少傾向を断ち切れるか否かが気にならないはずはない。
同様の傾向は炭酸飲料やアイスクリームでも見られ、1〜11月の炭酸飲料の消費量は144億4千万リットルが139億6300万リットルに3・3%、アイスクリームの場合は同1億8131万9千リットルが1億6822万3千リットルに7・2%減少した。
ビールや炭酸飲料、アイスクリームといえば夏の風物詩的な製品だ。1〜11月の落ち込みを回復させたい飲料やアイスクリームのメーカーにとり、21日に始まったブラジルの夏をどう活用するかは起死回生の鍵だ。
食料品や飲料関係の企業向けコンサルタントのアダウベルト・ヴィヴィアニ氏は、この現象は、電気電子製品などを優先して購入しようとする消費者が日常的な品物に割く所得を削る事によって生じる購買力低下が最大の原因と見ている。
市場関係者は、2004年から11年にかけては年6・5%成長していたアルコール飲料の消費が減ったのは、飲酒運転禁止法(レイ・セッカ)も少なからず影響したと見ている。CervBrasilのパウロ・ペトロニ氏は、ビールの消費減少は2012年後半から表面化しており、現在は年2〜3%減少という見通しをたてて対処しようとしているという。
一方、炭酸飲料やアイスクリームの消費量減少には、健康志向の高まりも影響している。炭酸飲料が2008年の非アルコール飲料に占める割合は62・5%だったが、2013年はこの割合が57・6%に低下した。アイスクリームの平均消費量は年3・1リットル/人で、米国平均の約6分の1にしか過ぎない上に消費減少傾向にあり、夏場の消費拡大への期待は膨らむばかりだ。
ビールの場合は夏の間の消費が年間販売額の40%を占めるため、国内のシェアの70%を占めるAmbevが当面の価格凍結を決め、小売店の店頭価格上昇防止対策にも乗り出した。Kaiserはレモン味のビールを開発、ハイネッケンは、最後の1滴まで冷たく飲みきれるよう、250ccの小型ビンを使ったshotを売り出す。
アイスクリームメーカーでもKibonが9月、この夏の販売増を狙い、4千万レアルを投じて新品種を開発する事を発表している。
一方、消費減少傾向に泣くビールや炭酸飲料、アイスクリームと違い、この夏も確実に消費拡大と見られているのはミネラルウオーターだ。国内市場ではバールやレストランなど、販売規模の小さな店で売れる500cc以下のサイズの品が売り上げの8割を占めており、販売先の開拓なども盛んだ。ネスレでは今年の売り上げは昨年比15%と強気の見通しを立てている。(23日付エスタード紙より)