ニッケイ新聞 2013年12月24日
フェルナンド・ハダジサンパウロ市市長(労働者党・PT)が市政1年目を終えるにあたり、22日付エスタード紙の取材に応えた。同市長にとって13年はマニフェスタソンや市会計局の収賄事件、都市不動産所有税(IPTU)値上問題などで市民から反発を買う厳しい1年だったが、同市長は「次の選挙に勝つために市長職を遂行しているのではない」と強く語っている。
6月のマニフェスタソン後、ジウマ大統領の支持率は回復してきているが、ハダジ市政の支持率は11月末の時点で「良い」が18%に止まるなど、歴代サンパウロ市市長の1年目と比べても低調な数字が目立つ。
6月はバス代を3・00レから3・20レに値上げしてマニフェスタソンの標的となり、値下げを強いられた上、「一般家屋20%、商用地35%」を上限とするIPTU値上法案も、20日の最高裁判決で差し止めが正式に決まり、市は計画した予算より8億レアル減収となる。さらに、タクシー運転手や家のない労働者らからも抗議の的とされている。
そんなハダジ市長に対して、PTが危機感を示し始めた。同党党員の一人は、IPTUとバス料金の値上げにこだわり、92年市長選でパウロ・マルフ氏に敗れた後にPTを去ったルイーザ・エルンジーナ元サンパウロ市市長(1989〜92年)と同市長を比較している。ハダジ市長の悪評がジウマ大統領の再選や、サンパウロ州知事選出馬予定のアレッシャンドレ・パジーリャ氏へのダメージにならないよう、市局長などの人選面などで干渉しようとする動きも出ている。
だが、ハダジ市長は、「マルタ元市長の1年目より難しかったが、バランスは保っている」と、同じくIPTU値上問題で高い拒絶反応を招いたマルタ元市長(2001〜04年)を例に出して答えた。「元市長はその後50%の支持率を得たが、04年の選挙では敗れた」と支持率などあてにならないという考えも示し、「私は再選のために市長職を遂行しているのではない。私がもっともこだわるのは、サンパウロ市の発展のための投資の可能性を回復させることだ」と語っている。
さらにハダジ市長は、ジルベルト・カサビ前市長(社会民主党・PSD)の時起きたサンパウロ市会計局の収賄疑惑に関し「会計監査官たちは歴史的な快挙を遂げたが、起訴にいたるには検察局の協力が不可欠だった」と捜査への手応えを口にした。だが、その一方、同市長は同事件の発覚後に「サンパウロ市民の反感が強くなってきた」ことを認めた。同市長によると、盗聴など私生活に危険が及ぶことを感じたため、恒例となりつつあったサンパウロ市南部パライゾから中央部お茶の水橋の市庁舎までのバス通勤を止めざるをえなくなったと語っている。
また、バス料金に関しては「14年は選挙年なので原則として値上げはない。その質問は大統領選の候補者にされることになる」と語り、IPTUに関しては「(法案を訴えた)PSDB(民主社会党)や、最高裁の判断にも矛盾がある」と不満を表した。