ニッケイ新聞 2013年12月25日
中央銀行が20日、ジウマ政権は低い経済成長と高いインフレで最終年を終えるとの見通しを発表した。21日付伯字紙によれば、中銀は2013年の経済成長率と選挙直前の9月までの12カ月の累計成長率はどちらも選挙年としては2002年以降では最低水準の2・3%と見ており、次政権初年はインフレで悩むと予測している。
中銀が最も懸念するのはインフレで、13年と14年の物価上昇率は政府目標の4・5%を大きく上回る5・8%と5・6%との見通しだ。その一方、13年の国内総生産(GDP)は、年頭に予想された3・1%成長から縮小し、2・3%と予想している。
中銀のカルロス・アミルトン・アラウジョ経済政策担当理事によると、13年と14年の年間インフレ率は5・8%と5・6%で市場関係者の予想と同じだ。14年に5・6%という数字は、現政権中にインフレを政府目標の4・5%まで引き下げるとのジウマ大統領の公約が果たせなかった事を明示しており、次政権初年の15年も中銀予想5・4%、市場の予想5・3%のインフレに悩まされそうだ。市場ではインフレ動向を鑑みて、1月の通貨政策委員会は経済基本金利を0・5%ポイント引き上げ、年10・50%とするとの見方が広がっている。
一方、従来政権では支持率の動向にも影響していた経済成長率は、13年と投票日直前の9月までの12カ月累計が共に2・3%の予想で、ルーラ前大統領が当選した02年の9月までの12カ月累計1・3%に次ぐ低さだ(2010年大統領選挙前は7・5%、フェルナンド・エンリッケ・カルドーゾ元大統領が1998年に再選された時は0・04%だった)。
一方、社会保障費や貧困救済政策関連経費、教育への支出増などを受け、基礎的収支の黒字が縮小してきている事への懸念も遠まわしに表明した。基礎的収支の黒字は満期公債の払い戻しなどに不可欠だが、現政権はGDPの3・1%という目標を達成できない状態が続いており、市場では、公的会計の基礎的収支(歳入から歳出を引いたもの)の黒字はGDPの1・7%程度で、GDPに占める公債の比率は34・5%から35・1%に上がるとの見方も出ている。
中銀としては、公債がGDPに占める割合を増やさないためには、基礎的収支の黒字額を少なくともGDPの2・1%まで持っていく必要があると見ている。
14年の大統領選挙は経済指標がいずれも厳しい数字を示している中で行われるが、従来の選挙と違って、経済指標の低さにも関わらず、支持率の高さを保っているジウマ政権。ただ、6月のマニフェスタソン後も変革や改革を求める声が強い事は、現行の経済政策などへの不満もくすぶっている証拠だ。失業率が過去最低水準の4・6%という数字と共に、雇用創出数は過去10年で最低という数字が発表された事も、経済活動が爆発的に拡大する可能性は少ない事を暗示している。