ブラジルが世界に誇る最強格闘家、アンデルソン・シウヴァが試合中の重傷で引退の危機にさえさらされている。
アンデルソンは、自身の参加している総合格闘技競技会UFC(アルティメイト・ファイト・チャンピオンシップ)で、同大会での最多連勝、全階級を通じての最多王座防衛記録(アンデルソンはミドル級)を持つなど、最強総合格闘家として世界的に有名な存在だ。
だが、昨年7月に行なわれたUFCミドル級の王座防衛戦で、クリス・ウェイドマン(米国)に、自身7年ぶりの敗戦となる負けをノックアウトで喫し王座を陥落していた。
12月28日、米国ラスベガスで行なわれた試合は、ウェイドマンから王座奪回を目指すべく行なわれたものだった。
だが開始早々、アンデルソンにアクシデントが襲った。第1ラウンドの1分16秒、アンデルソンはウェイドマンの左脚に自身の左脚でキックを入れようとした。だが、そのキックをウェイドマンが自身の膝を曲げてブロックしようとしたところ、その膝がアンデルソンの左の脛の部分を強打した。
これによりアンデルソンは頚骨と腓骨を骨折。骨が折れたことは傍目にもわかる事故で、その場で倒れたアンデルソンは激痛で立ち上がれず、その場をのたうち回った。この結果、アンデルソンは自身のUFCのキャリアでは初となる連敗を同じ相手に喫することとなった。
アンデルソンの手術は翌12月29日に行なわれ、成功したが、全治には最大6カ月かかる見込みとなった。
この重傷に加え、38歳と、格闘家としては高齢となることから、UFCのダナ・ホワイト会長は「これが彼にとっての最後の試合になる可能性がある」と、アンデルソンの引退をほのめかしはじめている。
アンデルソン自身は、自身の引退に対し、はっきりとしたことは語っていない。アンデルソンはウェイドマンに最初に負けた際、「UFCで残された契約の試合は全うしたい」と語っていたが、12月23日に行われたインタビューでは、仮にホワイト会長が引退を勧めて来た場合は「他団体で現役を続行したい」と語っていた。アンデルソンは同会長が、強豪格闘家だったチャック・リデルを2010年に引退に追い込んだ際のやり方に不満を抱いている。(12月30日付アゴラ紙より)