バラー州アバエトゥーバ市のサンジョアン区の防犯カメラが4日、脆弱だった地盤が崩れ、シケイラ・メンデス通りの家が次々と川の中に飲み込まれていく様子を映し出した。
家屋倒壊が起きた地区はマラタトゥイーラ川の岸に不法造成された土地で、川を背負う形で建っていた家の一軒が後方に倒れこむように崩れると、周辺の家や電柱、樹木が次々と川の中に飲み込まれて行った。
防犯カメラの映像には、家屋倒壊の危険を察知した妊娠7カ月の母親が、子供を窓から投げ出すようにして家の外に出させた後に隣人の助けを借りて脱出すると間髪を空けずに家が倒れていく様子や、人々が逃げるのを追う様にその他の家も次々に川に落ちていく様子が映っている。
川の中に飲み込まれるように倒壊した家屋は13軒だが、同市防災局は周辺の23軒に対しても家屋への出入りや居住を禁じたため、78世帯106人が住む場所を失った。この内の28世帯は市立体育館に避難、残った人々は親戚などの家に身を寄せている。被害者らは「爪の先に火を点す様にして貯めたお金で手にした家や家財道具を皆失った」と嘆いているが、家屋倒壊に伴う死者は出なかった。
家屋倒壊は当初、川の増水で浸食が起き、地盤が削り取られたのが原因とされていたが、現地を視察した技師らは7日、「川の増水や高潮のせいではない。現場周辺はもともと川に沿った低地で宅地には適していなかった上、瓦礫やごみ、粘土といった不適切な材料で埋め立てて土地を造成したために、不安定だった地盤が崩れた」と説明している。
同市で生まれ育った女性技師は、不安定な地盤の上に二階建ての家を建てた事が状況を更に悪化させたとし、同地区を通る車の量が多い事も不安材料との見解を表明。「今でこそ港や造船所もあり、商業地区もあるが、自分が小さかった時はこの辺りは川だった。埋め立ては青年期に始まり、家も建てられるようになったが、こんな事が起きるとは誰も予想しなかった。この地区の地盤がこれだけの動きには耐えられない事がわかるのは、専門的に勉強した人だけだ」と言う。
同市では6日に非常事態宣言が出たが、不法な埋立地に家が建てられた所はサンジョアン区以外にもあり、地盤が崩れたり家が倒壊したりといった場面には出くわした事がなかった市民の中に不安や動揺が広がった。
住民の大半は着の身着のままで家を出ており、防災局が、被災者への衣類や靴、腐らない食料品や飲用水、扇風機やフォゴンなどの電化製品、衛生用品、食器などの日用品などの寄付を呼びかけている。
この呼びかけに応じ、パラー州立大学(Uepa)では6日から10日の8~12時、14~18時に、第二キャンパス体育館、同大学本部棟、モジュ・キャンパス、バルカレナ・キャンパスの4カ所で寄付の品を受け付けている。(6日、7日付G1サイト、Uepaサイト)