サンパウロ市西部のアラサー墓地で5日未明、約30人の賊が、墓地中央の聖堂(チャペル)や墓を荒らすという事件が起きた。
事件が起きたのは5日未明。大きな音や人の話し声に驚いた墓地職員や花屋の関係者が市警備隊に通報したのは午前4時頃で、黒い服を着た賊約30人が塀を乗り越えて逃げていったという。
アラサー墓地はサンパウロ市内でも、コンソラソン、クアルタ・パラーダに次ぐ3番目に古い墓地で、中央の聖堂は1887年に建てられた。犯人達はこの聖堂の扉やノッサ・セニョーラ・アウシリアドーラの聖像付きの大理石の講壇、トイレの流し台、便器などを破壊した他、青銅で造られた像を引き倒したり、大理石などで造られた像や墓を壊したりした。墓地職員や花屋の関係者を驚かせた音は、棺を運ぶ電気自動車2台を衝突させて遊んでいた音だったようだ。
引き倒されたり壊されたりした像21体は、大半がイタリア人やユダヤ人、レバノン人の移住者やその子孫が現地から運んできたり取り寄せたりしたもので、修復は不可能だという。アラサー墓地は歴史・文化遺産として登録されていないものの、墓地内の像や墓標の多くは芸術品としても価値が高く、被害額は想像もつかない。
同墓地の塀の高さは1メートル80センチ以下で侵入が容易なため、近年は盗難なども多発し、13年の4~11月に起きた墓荒らしは23件に及ぶ。軍政時代の死者や行方不明者への顕彰が行われた直後の11月3日には遺骨や遺品を納めた納骨堂が荒らされたが、盗品を売り捌こうとした賊が市中央のサンタセシリアで捕まって以降、事件が起きていなかった。
今回の被害は同墓地でも最大級だったが、今回は被害を免れたという弁護士のネルソン・ガンバリニ氏は、同家の墓は過去20年間に3度荒らされたと証言している。(7日付エスタード紙、フォーリャ紙、6日付G1サイトより)
アラサー墓地で墓荒らし=聖堂や大理石の像など破壊
ニッケイ新聞 2014年1月8日