最高裁のジョアキン・バルボーザ長官は6日、メンサロン裁判で実刑判決をうけた元下院議長のジョアン・パウロ・クーニャ被告(労働者党・PT)の上告を認めず、刑執行を言い渡した。クーニャ下議への刑執行の日付は未定だが、これで同事件で有罪となった現職議員全てが刑に服することになりそうだ。7日付伯字紙が報じている。
下院議長だった2003~05年に月5万レアルを賄賂として受け取った容疑で有罪となったクーニャ被告は、「間接的な汚職」「公金横領」の二つの罪状に関して上告を行なったが、却下された。この二つの罪状に関して、クーニャ下議は上告が認められる判事投票での最低基準「無罪票4票」を獲得できず、2票に終わっていた。
バルボーザ長官は判決文で、「有罪判決を妨害しうるような上告の濫用は刑執行に支障を来たす可能性がある」とし、断固として上告を受け付けないとの強い態度を示した。同長官は5頁に及ぶ判決文の最後に「直ちに刑執行を求める」と記しており、メンサロン事件で有罪になった4人の現職連邦議員全てに刑が執行されることとなる。
クーニャ被告が受けたのは9年4カ月の実刑判決だが、そのうちの「マネー・ロンダリング」に関しては、上告が認められる基準となる4票の無罪投票を獲得しているため、当面はその分の刑期3年を差し引いた6年4カ月の実刑判決と見なされる。刑期が7年以下のため、昼間の外出が認められるセミ・アベルトとなる。同被告の弁護側は、昼間外出時の労働許可を求めるか否か検討中だという。
これまで刑執行となったジョゼ・ジェノイーノ(PT)、ヴァルデマール・コスタ・ネット(共和党・PR)、ペドロ・ヘンリ(進歩党・PP)の3人の現職議員被告はいずれも、罷免を避けるために議員職を辞任したが、クーニャ被告は対照的に議員続行を希望している。同被告は下院議長であった関係から、下議たちとの関係は良好と言われているが、一方、PT党員の中には同被告の辞任を望む声もある。それは、同被告が早く辞任すれば、ジウマ大統領の再選を目指す統一選挙でメンサロン事件の余波を引きずらずに済む、との考えがあるからだ。
同下議は6日、判決文に従い、7日午後、ブラジリアの連邦警察に出頭すると発言した。だが、同下議に議員辞職の思いがないため、最高裁が同下議逮捕を伝える文書を下院に送った後、下院議長団が罷免手続きについて決めることになる。
下院議長は7日、議長団会議は2月4日に開催と発表しており、同下議への刑執行はその後となる見込みだ。同被告に関しては今後、「マネー・ロンダリング」に関する上告裁判と、下院での罷免投票が行なわれることになる。同被告への刑が執行されると、同事件による投獄者は有罪被告25人中18人となる。