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シコ・ブアルキが生誕70周年=記念ミュージカルが開幕

ニッケイ新聞 2014年1月9日

 ブラジルの音楽史上、最も重要なシンガーソングライターのひとりに数えられるシコ・ブアルキが今年で生誕70周年を迎える。シコの誕生日自体は7月だが、祝福ムードは年明けからすでにはじまっている。

 そのひとつは、今月18日にサンパウロのテアトロ・ルネサンスで行なわれ、シコの楽曲を女性歌手たちが歌う「パラーヴラ・デ・ムリェール」というコンサートだ。

 また、9日から、リオのクララ・ヌーネス劇場ではじまる「トードス・オス・ムジカイス・デ・シコ・ブアルキ・エン・90ミヌートス(シコ・ブアルキの全てを90分で)」というミュージカルは、かなり前衛的な形でのシコへのオマージュだ。

 シコ・ブアルキと言えば、通常のレコード・CDの録音のための音楽活動に止まらず、演劇や映画の音楽担当としても大きな業績を残していることでも知られている。演劇なら「ゴータ・ダグア(1975年)」や「カラバール(73年)」、後に日本キャスト版が宮本亜門演出で作られた「オペラ・ド・マランドロ」(78年)が名高く、映画では「ドナ・フロールの2人の夫」(76年)、「クアンド・オ・カルナヴァル・シェガール」(72年)が有名だ。

 「シコはスティーヴン・ソンドハイム(アメリカが生んだブロードウェイの大物作曲家)にさえ匹敵するミュージカルの才能がある。彼が演劇関係の仕事をやらなくなったのが残念だよ」と、今回、シコのミュージカルを創作したシャルレス・モエレールは語る。

 モエレールと彼のパートナーであるクラウジオ・ボテーリョは現在のブラジルを代表するミュージカル・チームで、今回は、シコに捧げるミュージカルを作るために、シコが書いた曲を約50曲厳選し、その歌詞を元に新たなオリジナルの脚本を作り上げた。つまり、かつて別の演劇に作られた曲が、新たな場面で新しい意味を持って甦ったのだ。

 この創作活動にはシコ本人も絡み、彼自身の提案も生かされているという。だが、モエレール&ボテーリョの仕事ぶりにはシコ本人も驚いたという。今回選ばれた曲の中には、「タトゥアージェン」「ペダッソ・デ・ミム」「ジェニ・エ・オ・ゼッペリン」といった代表曲のほかに、録音の形では発表されていない、一般にはほとんど知られていない「インヴィクタ」という曲まで使われている。

 このシコへのオマージュ・ミュージカルは8月にはサンパウロ、11月にはポルトガルでも上演され、2枚組のCDに録音され発売されることも決まっている。(7日付エスタード紙より)