先住民と一般住民の間での抗争が昨年末から続いているアマゾナス州南部のウマイター市で、先住民テニャリム部族が6日、トランスアマゾニカ高速道(国道320号線)に不法に作った料金所を2月1日から再開させると宣言し、物議を醸している。8日付エスタード紙が報じている。
ウマイター市の一般市民とテニャリム族の抗争は、同市民が昨年12月26日、国立インジオ保護財団(Funai)が管理するテニャリム・マルメロス居住区で建物や車の焼き討ちを行なったことで表面化した。
事の発端は12月16日、国道320号線がウマイター市に隣接するテニャリム・マルメロス居住区を通る区域で、同市住民で大学教授のステッフ・ピニェイロ・デ・ソウザさんら3人を乗せた車が行方不明になったことで「先住民が殺害したのでは」との疑念が湧きあがったことだ。3人を乗せていた車は今月3日、焼き払われた状態で発見されている。
一連の事件で緊張が高まったこともあり、この地域でのテニャリム族による不法料金所は休止していた。だが、テニャリム族の酋長は6日、陸軍アマゾニア支部のエドゥアルド・ヴィラス・ボアス司令官に対して同料金所の再開を通達した。ヴィラス・ボアス司令官は、この料金所が不法なものであり、ウマイター市民との緊張関係を刺激するものだと見なし、「地域の平和」の名のもとに料金所の閉鎖を求めている。
だが、テニャリム族側は、同居住区にとって主要な財源だとして、譲歩の構えを見せていない。「国立再生可能天然資源・環境院(Ibama)のせいで、我々は狩りも、植樹も、木を切って工芸品を作ることさえ禁じられている」と、酋長のゼリト・テニャリム氏は語っている。
また、同酋長は、この問題に対する連邦政府の対処が一切ないことにも不満を漏らしている。「陸軍の将官はここにいるが、政府はどこにいるんだ。発電所の建設の件にしても、我々の居住区が水浸しになる危険性があるのに、その計画に関して我々との対話は一切ない」と語っている。こうした先住部族との対話の不足によって生じる先住民問題は、ジウマ政権の弱点であるとも指摘されている。
また、ポルト・ヴェーリョの第17部隊司令官のウビラタン・ポティ陸軍大将は、3人の行方不明者に関する連邦警察の調査は間もなく終わり、近日中に結論を発表するとした。