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マラニョン州=刑務所問題の対策を発表=政府介入避けたいジウマ=触れられぬサルネイ一族=ロゼアナ知事に4月辞任説も

ニッケイ新聞 2014年1月11日

【既報関連】マラニョン州サンルイスのペドリーニャス刑務所内での殺人や残虐行為が国連でも問題とされたことを受け、連邦政府は11の対策案を9日発表した。だが、ロゼアナ・サルネイ同州知事をめぐる政治的な駆け引きから、政府は同問題に本格介入することを避けていると10日付伯字紙が報じている。

国連からの圧力を受ける形でジウマ大統領は9日、ジョゼ・エドゥアルド・カルドーゾ法相をサンルイスに派遣。同相はロゼアナ知事らとの会議後、11項目からなる緊急対策案を発表した。

対策案の中身は、「法務省とマラニョン州内の行政、立法、司法機関が協力、統合する形の委員会を設置しロゼアナ知事の指揮下に置く」「連邦刑務所への囚人の移動」「公選弁護人による未決囚の整理」「同州内の国軍の増強」「刑務所内の治安と情報管理の統合計画」「刑務所の建設ならびに収監者の移動」「囚人家族への対応センター開設」「国の援助による刑務所内の健康管理部門設置」「刑務所内の警備に当たる警察官への対応と能力向上」「検察と法務省の統括」「(超過状態緩和のための)代替刑や監視モニター使用」となる。

「これらの対策には、サンパウロ州など、全国6州で既に実施され、有効に機能しているものが含まれている」とカルドーゾ法相は語っている。またロゼアナ知事は、同州では既に1億3100万レアルをかけて、刑務所システムの再建に取り組んでいると語った。

ロゼアナ知事は記者の一人が法相に「ジウマ大統領の沈黙は、大統領府とサルネイ家との関係故か」と質問したのに苛立ち、「家族の問題ではない。州の責任を負っているのは私だ」と答えた。

マラニョン州の監獄問題に関して連邦政府が深く介入できないのは、ロゼアナ知事が元大統領で前上院議長でもあるジョゼ・サルネイ氏の娘であることが大きく影響している。サルネイ一族の所属する民主労働党(PMDB)は、ジウマ大統領の労働者党(PT)の連立与党最大のパートナーであり、関係をこじらせることができない。

また、ジウマ大統領は2010年の選挙で、マラニョン州で全国2番目となる79%の高得票率を獲得しており、同州で何10年にもわたり絶大な影響力を持つサルネイ一族との関係を悪化させたくない願いもある。

だが、連邦検察庁のロドリゴ・ジャノット長官は、この問題への政府介入を望んでいる。同長官は、ペドリーニャス刑務所で60人の死者が出たことが判明した昨年末、マラニョン州に報告書の提出を要求したが、同州からの返事は「刑務所を増やす」など、迅速な解決に繋がらない返答のみだった。検察は、政府介入を求める文書を最高裁に送るべく準備中だ。

一方、ロゼアナ知事はこの4月で同職辞任とも伝えられている。それは同州の上院議員選に出馬するためだが、これは、米国移住を希望するロゼアナ氏に対し、83歳で政界引退も遠くない父のジョゼ氏が、政界一家としての存続を強く望み、説得したためだという。