ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | [シリーズ] 本当に大丈夫? サッカーW杯=試合都市の交通インフラ改良の完成度はわずか25%=(1) クリチーバ編

[シリーズ] 本当に大丈夫? サッカーW杯=試合都市の交通インフラ改良の完成度はわずか25%=(1) クリチーバ編

ニッケイ新聞 2014年1月15日

6月のワールドカップ開幕まで半年を切った――。使用予定の全国のスタジアムはまだ半分しか完成していないという状態だが、整備・建設中の交通インフラはさらに酷く、75%が遅延または試合までに間に合わないことが、先月のニュースサイトG1の報道で明らかになっている。昨年12月9日から15日の間に同サイトで掲載された、全国の工事状況を伝えるレポートの翻訳記事を数回にわたって掲載する。

南東伯のパラナ州都クリチーバ。計画都市で整然とした街並みが魅力の町だが、ここではW杯に向けて計画された交通インフラ整備のプロジェクト9件のうち、既に2件が中止となった上、工事費は当初の見込みを32・4%上回るとされている。

予定されていた全工事は、本来なら2013年6月のコンフェデ杯前の4月には完了する予定だったが、未だどの案件も終わっていない。

昨年10月、14年大会のFIFA監査委員会が発表したレポートによれば、唯一、リーニャ・ベルデ(バスの路線)を南方面に3・3キロ延長するという工事に関しては今年5月に終わると予想されている。

ところが、大会の同市事務局長、州の大会コーディネーターは揃って「全ての工事は大会までに終わる」と明言している。彼らは遅れの原因は、気候、関係省庁のお役所仕事体質、工事の遅延と高騰するコストで断念する建設業者などに押し付けている。

関係者が最も懸念するのは、長距離バスと鉄道駅が連結するバス・ターミナルの改修だ。当初の完成時期は2012年12月だったが、それも昨年9月、そして今年5月にまで延ばされた。

このプロジェクトは2段階に分けられており、第一段階が建物の改修、第二段階がターミナル周辺へのアクセスの改善だ。建物改修の工事は2012年6月から始まっており、投資額は3519万レアル。半分は既に終了したという。

第二段階の工事は今年の4月から5月の間に始まるとのことだ。遅れの原因に関し、事務局長は国立美術歴史遺産院(Iphan)の許可を得るのにトラブルが生まれ、結果として計画変更を余儀なくされたからだと説明する。

長引く工事は、ターミナル利用者に不便と混乱をきたしている。長距離バスのチケット売り場の改修が終わっていないため、チケットを買うにはターミナル前の広場に仮に造られたプレハブの建物に並ぶバス会社の窓口まで行かなくてはならない。

クリチーバ市隣のサンジョゼ・ドス・ピニャイス市にある空港と、市内のバス・ターミナルをつなぐ道路は、予算が当初の見込みから36・63%も上回っている。

道路工事は3段階に分けられており、一部は完成しているが最も時間がかかりそうな工事が高架部分の設置だ。昨年11月までの完成度はわずか3%で、工事業者が断念したため新たに入札を行った。新業者は12月に発表され、2014年3月までに完成させるということだ。

11月初め、州政府は全工事の38・44%が終わったと発表している。しかしFIFAの監査委員会は、9月までに少なくとも47・71%まで完成させておくべきだったと言っている。(12月9日付G1サイトより)