高等選挙裁判所が昨年末に下した、選挙期間中の検察による捜査の制限に対し、ロドリゴ・ジャノット連邦検察庁長官が同選挙裁判所に対し判断の取り消しを求め、それが覆らない場合は最高裁に訴える構えを見せた。15日付伯字紙が報じている。
同選挙裁判所は昨年末に行なった審議で、今年10月の選挙に関して、同裁判所の許可なしに検察が捜査を行なうことを禁止した。しかも、捜査対象として許可されるのは「票の売買」に限るとの判断も下された。
この選挙裁判所判断は、2010年の選挙までとは大きく異なる。従来、連邦警察には逮捕などの場合を除いて選挙期間中の捜査を、司法の許可なしには認めていなかったが、検察に関しては認めていたからだ。
この判断について、報告担当で最高裁判事のひとりでもあるディアズ・トフォリ判事は「民主主義国家においては、公になっていないことでの捜査は認められていない。それを公にするために、司法の判断が必要だ」との見解を示している。
その背景には、連邦警察が抱えている案件には選挙絡みが多いことがあげられている。連邦警察が扱う事件数があまりに多いため、それを自動的に担当することになる連邦検察庁の負担を考慮して制限をかけたようだ。
たとえば、13年11月の時点で、連邦警察には汚職で1万8千件、選挙犯罪で8250件、票の売買で2250件の案件を抱えている。
これに対し、連邦検察庁の選挙対策特別グループは14日、選挙裁判所判断に対する抗議を行なった。その声明文によると、選挙裁判所の同判断は年末の押し迫った時期に行なわれ、一般に対してしかるべき注目が得られる状況でない中で発表され、しかも「憲法で認められていることを変えることができるのは議会だけだ」とし、判断の違法性を指摘した。
このグループだけでなく、全国共和国捜査官協会(ANPR)、全国検察会員協会(Conamp)、全国労働捜査協会(ANPT)、連邦直轄区検察協会(AMPDFT)も同様に連名で、選挙裁判所に対し抗議声明を出した。その声明文には「検察の捜査の正当性を奪うことは違憲であり、訴訟や民主主義の透明性を損なう可能性がある」と記されている。
これらの抗議文の提出後、ロドリゴ・ジャノット連邦検察局長は、抗議が聞き入られない場合は最高裁に訴えることを明言した。
選挙裁判所の判事の中で唯一今回の判断に反対している、最高裁判事でもあるマルコ・アウレーリオ・メロ判事は「検察は告発できるのに、どうして捜査できないのか。その告発が多くなればなるほど捜査が少なくなるというのはどういうことだ。検察が憲法違反を最高裁に訴えるという大きな消耗を避けるためにも、選挙裁判所が判断を再考することを期待する」と語っている。