フランシスコ法王は15日、サンパウロ市司教区のオジロ大司教をバチカン銀行の理事から解任した。同銀行の浄化は法王の目指すカトリック教会改革の柱のひとつだった。16日付伯字紙が報じている。
バチカン銀行のマネー・ロンダリング疑惑は、聖職者による児童虐待などと並んでカトリック教会の腐敗の象徴とされてきた。フランシスコ法王はかねてから同銀行を「教会のイメージを貶めている」と公言していた。
その改革のひとつが同銀行の人事異動だったわけだが、オジロ大司教は他の3人の枢機卿と共に理事を解任された。奇しくも大司教は昨年3月のコンクラーベ(法王選挙)で、予想の時点ではフランシスコ現法王よりも就任が有力視されていた人物だった。
オジロ大司教はバチカン内では保守派からの支持が厚かった。特にベネディクト16世前法王とのつながりは強く、昨年に前法王が辞任をする直前には、バチカン銀行での職務期間を5年延長する契約も交わしていたほどだった。
この人事異動で5人中4人の理事が交替したが、後任には、フランシスコ法王の親友としても知られるスペインのサントス・アブリル・カステージョ枢機卿をはじめとした枢機卿がカナダ、イタリア、オーストリアからそれぞれ選ばれた。
また、バチカン銀行と同じくバチカン財政を司るアポストリック財団会長をつとめるドメニコ・カルガノ枢機卿も、今回の人事異動で解任された。同枢機卿はイタリアの裁判所から汚職の容疑をかけられている。
この人事異動だけにとどまらず、バチカン銀行の改革は進んでいる。ここ数カ月で、同銀行にあったマネー・ロンダリングに利用されていた何百もの外国企業の秘密口座も閉鎖されている。
なおオジロ大司教はバチカン内の七組織内のいずれかにはとどまる予定だ。
バチカン銀行=サンパウロ市オジロ大司教を解任=フランシスコ法王の改革で
ニッケイ新聞 2014年1月17日