選挙年に伴う連邦政府の内閣改造の目玉は、大統領の女房役である官房長官が、グレイシ・ホフマン氏(労働者党・PT)からアロイージオ・メルカダンテ現教育相に代わることのようだ。その就任が内定し、ジウマ大統領が再選した際、2015年以降の内閣の中核を担う人事にもなるであろうと、21日付伯字紙が報じている。
ジウマ大統領は20日、大統領官邸でルーラ前大統領を交えて、2月に発表予定の新内閣のための会議を行なった。10月の全国知事選には現内閣から10人が出馬すると目されている。
その重要な会議の席に、メルカダンテ教育相は出席した。現在グレイシ氏が休暇中のため、官房長官の臨時代理をつとめているメルカダンテ氏だが、同会議への出席は彼が実質上、パラナー州知事選に出馬するグレイシ氏の後任になることも意味しているようだ。
仮に10月の大統領選でジウマ氏が勝利した後、15年以降の第2次政権を組む際も、メルカダンテ氏が官房長官職を継続すると見られている。11年からのジウマ政権の弱点補強の意味が含まれている。
メルカダンテ氏のPTでの位置付けは、ジウマ氏に次ぐものとされている。同氏はジウマ政権において科学技術相、教育相を歴任してきた。06年、10年にはサンパウロ州知事のPT候補にも立候補し敗れ、14年のサンパウロ州知事選でも党は出馬させようとしたが、同氏が拒否していた。
その彼を官房長官の座に据えることは、大統領府の強化の意味が込められている。ジウマ政権は11年6月に当時のアントニオ・パロッシ官房長官が汚職を追及されて辞任して以来、大統領府の泣き所だった。ルーラ第1期時に〃PT三銃士〃とも〃切り札〃とも言われたパロッシ、ジルセウ、グシケンが表舞台から居なくなった今、最後の大物といえそうなのはメルカダンテ氏だ。
特に期待されているのは、他の連立与党との調整役だ。本来はイデーリ・サウヴァッチ大統領府政局調整担当長官の役目だったが、彼女の交渉能力不足により、連立与党議員の内閣推薦法案へ造反急増(21日既報)につながった。2月以降も彼女が職務を継続する予定というが、メルカダンテ氏によるテコ入れは確実だ。
メルカダンテ氏は経済学の修士を取得し、大学で教鞭を取った経験もある経済通であり、経済政策強化も期待されている。教育相の後任には現教育省幹部のジョゼ・エンリケ・パイム氏が昇格する予定だ。
入閣組として有力視されているのは、サンパウロ州知事に出馬するアレッシャンドレ・パジーリャ保健相の後任にアルトゥール・シオロ氏(PT)、ミナス・ジェライス州知事選に立候補するフェルナンド・ピメンテル開発相(PT)の後任にジョズエー・ゴメス・ダ・シウヴァ(民主運動党・PMDB)が予想されている。