国全体の工業は停滞気味で労働者数も減っている一方、アマゾナス州マナウスのフリーゾーン(免税地区)では収益、雇用数ともに史上最高を記録したと19日付エスタード紙が報じた。
マナウス・フリーゾーン監督庁(Suframa)は、2013年、同地域の企業の売上(電子製品、部品が大半)は前年比10%増の810億レに達したとみており、雇用数も同地区始まって以来の12万9千人(前年は11万8700人)となったという。
「今年も著しい成長を見込んでいる」と言う同庁のトーマス・ノゲイラ代表は今年、特にW杯の影響でテレビの生産が15%拡大するとみている。2カ月に40件もの生産プロジェクトが立てられる同地区では、スマートフォンの生産拡大、バイク生産の巻き返しなど、他にも成長が期待できる要素が多いようだ。
アマゾナス工業センター(Cieam)のウィルソン・ペリコ会長によれば、昨年12月までのオートバイ、テレビ、携帯電話の生産数は後退したが、タブレット、スプリット型エアコン、ビデオゲームなどの生産が増大したという。
特に「昨年はタブレットの年だった」(ノゲイラ氏)という。2012年の生産ロット数は19万7600だったが、昨年は250万台ものタブレットが生産されたとみられている。
ただし、工業生産に関する地理統計院(IBGE)の最新調査によれば、昨年1月から11月までの国全体の工業生産の伸びは1・4%だった一方、アマゾナス州は1・5%だった。
同州の工業生産高が国全体に占める割合はわずか3・7%と小さく、生産される商品は付加価値がつかないという指摘もある。産業開発研究所(Iedi)のロジェリオ・セーザル・チーフエコノミストは「フリーゾーンでは多くの部品を輸入し、それを組み立てている。収益が増えているのは需要があるため」とし、マナウスの産業が組み立て工場の域を出ないとの見解を示した。
これに対し、アマゾナス連邦大学教員のマウロ・ヴィエイラ・サー氏は「2006年からマナウス生産製品の付加価値額は、国のそれを上回っている」とする。同氏によればマナウス産の工業製品の付加価値額は45・5レだったのに対して国のそれは43・2レで、生産過程で使われる部品の一部は少なくともブラジル産のものである必要があると定めたPPB(国産部品調達率の規定)に起因するとしている。
なお、日本の日立は昨年半ばから、エアコンへの需要拡大を受けフリーゾーンでスプリット型エアコンの生産を再開している。マナウスの日立アール・コンディショナードの具志堅ジョルジ氏によれば、エアコン生産再開に当たり新たに350人を雇用し、新工場には6千万レを投資。現在三つのシフトで稼動しているという。