ブラジルには全国で9万7千店の薬局(調剤薬局を含む)があるが、うち52%の店舗ではフルタイム勤務の責任薬剤師がおらず、違法に経営されていると20日付フォーリャ紙が報じた。
この52%の一割の店舗では、薬剤師が一度も雇用されたことがないという。フォーリャ紙が独自に入手したICTQ(薬剤師大学院研究所)の調査結果によれば、1973年の法律では、薬局には営業時間の全ての時間帯に薬剤師が勤務している必要があると定められており、違反した場合は罰金処分に加え営業停止になる場合もあるという。
薬局に勤務する薬剤師の業務は、処方箋の確認と医薬品の処方、消費者への適切な服用方法の説明などだ。調査を担当したマルコス・ヴィニシウス・アンドラーデ氏は「多くの薬局で、店の販売員が薬を処方している状態。消費者の健康状態に損害を与え、場合によっては命に関わる重大な事態になり得る」と警告する。インタビューに答えた1923人の消費者のうち54%が、「薬剤師と販売員の区別がつかない」と回答した。
このような違法経営の薬局は北東部と北部に集中している。違法経営の店舗が最も多かったのはピアウイ州で948店、マラニョン州(849)、パラー(842)各州と続く。
ブラジル薬局協会(Abrafarma)によれば、全国で少なくとも3万人の薬剤師が不足しているという。現在全国で18万人の薬剤師が登録されているが、そのうち30%が、研究所や保健所など薬局以外の場所で勤務している。
「多くの店で雇用したがっているが、応募がない。24時間経営の店舗を減らしているチェーンがあるのはそのため」とセルジオ・メナ・バレット同協会会長は話す。
一方、連邦薬局審議会(CFF)のウォルター・ジョアン会長は薬剤師不足を否定した上で、「問題は薬局の数が多すぎること」と指摘する。「ブラジルには必要な数の5倍の薬局が存在する。ちょっとした店が薬局の看板を掲げ、戸棚に薬を並べて売る」と現状を説明する。
同会長によれば、薬剤師の数は足りており、4後には8万人が薬学部を卒業する予定だという。
また、サンパウロ地方薬局審議会のペドロ・メネガッソ会長は、「医者の問題と同じで、薬剤師も南東部や南部に集中し、適切に分配されていない」と指摘する。
一方で、薬剤師不足問題が連邦検察庁の案件にまでなった州がある。パライーバ州では112店舗で薬剤師がいないことが発覚したが、このうち複数の店舗が、罰金や営業中止などの処分を免れた経緯がある。募集をしていても応募者がいないことが証明されたからという理由だ。「薬剤師がいないという理由で薬局を閉めるのは、特に小さな町では市民にとって良くない場合がある」と場レット会長は話している。