サンパウロ市誕生記念460年の節目だった25日、市内で昨年6月以来となるサッカーW杯開催反対を訴える大規模な抗議行動が全伯30都市で起きたが、最大のものは祝福ムードに沸いていたサンパウロ市だった。覆面のブラック・ブロックが銀行に火をつけ壊したり、軍警が抗議者の1人に発砲するなどの事件に発展した。この事態を受け、ジウマ大統領が緊急に対策会議を行うことを余儀なくされている。26、27日付伯字紙が報じている。
サンパウロ市での抗議行進は午後5時頃からパウリスタ大通りのサンパウロ美術館(MASP)付近から平和にはじまった。そこには1500人ほどの抗議者が集まり、「ノン・ヴァイ・テール・コッパ(W杯を開催しない)」との横断幕を前面に掲げての行進となった。
一行はBルイス・アントニオ大通りを北上し、セントロのレプブリカ公園方面に歩いていき、午後7時55分頃、最初の騒動が市営劇場近くの4月7日通りで起きた。一行に紛れ込んでいた覆面姿のブラック・ブロック一団がブラジル銀行の正面ガラスを叩き壊し、窓口に火をつけて燃やした。その近くのバロン・デ・イタペチニンガ通りではマクドナルドの受付のレジが略奪された。
覆面の一団は、サンパウロ市生誕記念コンサートが行なわれていたレプブリカ広場の会場になだれ込み、ステージに缶や瓶を投げるなどの騒乱を誘う行為を行った。だがこれは観客には歓迎されず、コンサートの合間の時間に、ブラック・ブロック数人が観客に袋叩きにあう光景も見られた。
ブラック・ブロックの破壊行為はおさまらず、同広場近くで道路封鎖をしようと家具に火をつけて路上に置いたり、市警備隊の車両を横転させようと持ち上げたり、アウグスタ通りでは軍警と衝突を起こして付近の高級ホテルへ逃げ込んで宿泊客が大騒ぎになった。
最悪の事態は午後10時30分頃に起こった。コンソラソン通りから少し外れたサバラー通りで、軍警が抗議者のひとりである22歳の学生、ファブリシオ・プロテウス・ヌーネス・フォンセカ・メンドンサ・シャヴェスさんの胸と鼠径部に発砲し、重傷を負わせた。ファブリシオさんからカッター・ナイフで襲われそうになったと、軍警は正当防衛を主張している。
この模様は26日、グローボ局の「ファンタスチコ」で放映され、2人の軍警がファブリシオさんを追いつめ発砲する姿を映している。
この件に関し、ジェラルド・アウキミンサンパウロ州知事は26日、「悲劇は避けられたのに」と遺憾の意を表明した。ブラック・ブロックの行為に不満を示す一般市民は多いが、軍警が学生相手に発砲行為は新たな抗議行動を誘発する要因になりかねない。
この事態に対し、ジウマ大統領は26日、ジョゼ・エドゥアルド・カルドーゾ法相、セウソ・アモリン防衛相、アウド・レベロ・スポーツ相と共に、緊急の対策会議を行うことを決めた。